|
総選挙に関心を持とう
代表選び委ねる間接民主制
小泉首相は八日、衆院を解散しました。郵政民営化法案が参院で否決されたため、「国民が民営化に賛成なのか、反対なのか、民意を問う」というのです。これに対し、野党第一党の民主党は「政権交代の好機」とみて、小泉政権への批判を強めています。
今回は民主主義と選挙について考えてみましょう。
国や自治体は人の集まりです。その運営をメンバー全員が参加して決めるやり方を、直接民主制といいます。古代ギリシャの都市国家(ポリス)の民会が有名ですね。今でもスイスの自治体や米国の一部自治体は、住民による総会(タウン・ミーティング)で重要事項を決定しています。
日本でも町と村は議会を置かないで住民総会を設けることができます(地方自治法九四条)。東京・八丈小島の宇津木村で戦後この規定による直接民主制が実施されたことがありましたが、一九五五年に他村との合併により廃止されました。直接民主制は規模が小さな自治体などに適した仕組みといってよいでしょう。
これに対して、選挙で代表を選び、具体的な決定はその代表の集まりである議会にゆだねるやり方を間接民主制(代議制)といいます。直接民主制は民主主義の理想ですが、国のような大きな組織では全員が集まって話し合うことは困難です。憲法は「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する」(前文)と規定し、国政レベルで間接民主制をとることを明らかにしています。
 |
| 街頭演説する衆院選の立候補予定者。国政では、選挙で選ばれた代表に判断をゆだねる「間接民主制」が採用されている |
国会議員は「全国民」の代表
世論反映へ有権者と約束も
間接民主制では、選挙で選ばれた代表(国会議員)と、選んだ有権者の意見が食い違うことがあります。この点を、どう考えたらよいのでしょうか。
フランスで十八世紀末の革命まで続いた三部会のような身分制議会では、選出母体の意向は絶対でした。自分がいくら正しいと思っても、選出母体の都市がノーといえば、議員は反対票を投じなければなりませんでした(このような方式は強制委任と呼ばれます)。
しかし、これでは討論や審議は無意味になってしまいます。そこで、革命後の議会では、議員は選挙区の指示に拘束されず、全国民のために自由に行動してよいとされるようになりました(純粋代表)。日本国憲法が国会議員を特定の選挙区の代表とせず、わざわざ「全国民」の代表と規定しているのも(四三条)、このような歴史の流れに沿ったものです。
ただ、この点だけを強調すると、十八世紀のフランスの思想家ルソーが批判したように、国民が自由なのは選挙のときだけで、選挙が終われば権力者の奴隷となってしまいかねません。日本でも政治家や政党が選挙公約を守らず、たびたび問題となってきました。
やはり、国民の代表はできるだけ忠実に世論を反映すべきです。政党がこれまでの「公約」と区別して、マニフェストという言葉を使うようになってたのも、有権者との約束を重く見るようになったからでしょう。
選挙は私たちの代表者を選ぶ、民主主義国で最も重要なイベントです。ぜひみなさんも、国民の一人として関心を持ってください。
(久保谷 洋・ジャーナリス)
2005年8月21日
|