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郵政民営化法案をめぐる動き
首相主導と不信任案可決時
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| 衆院特別委で野党議員が法案反対の紙を掲げるなか、郵政民営化法案が可決された=4日 |
小泉首相は郵政民営化法案をめぐり、参院で否決された場合、衆院を解散するとほのめかしています。
解散は、衆院議員の任期(四年)が終わる前に、議員全員を同時にクビにすることを言います。そうすると四十日以内に総選挙が行われ、その結果に基づいて新しい内閣が誕生する仕組みです。
憲法七条では、衆院の解散は天皇の「国事行為」の一つとして掲げられていますが、国事行為は必ず「内閣の助言と承認」に基づいて行われますから、決定権は内閣にあります。
ただ、「解散は首相の専権事項」ともいわれます。事実、解散はほとんどの場合、首相の考え一つで決められてきました。首相は自由に大臣をやめさせられるので、閣議で解散に反対する閣僚がいても罷免すればよいからです。
それでは首相はいつでも好きなときに、解散に打って出られるのでしょうか。
憲法六九条は「この内閣にはもう政治を任せられない」という決議案(内閣不信任決議案)が衆院で可決されたとき、「十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」と定めています。戦後、憲法が生まれたばかりの時代には、この規定をよりどころにして、解散は不信任案が可決された場合だけという見解が有力でした。新憲法下初の解散(一九四八年十二月)も、六九条に基づいて行われました。
これに対して、ときの政府は一貫して「解散は六九条に限られるわけではなく、内閣が政治的責任で決めるべきものだ」との立場をとり、不信任案が可決されない場合でも七条に基づいて解散を行ってきました。戦後十九回の解散のうち、不信任案の可決をきっかけにした「六九条解散」は四回にすぎません。首相主導の「七条解散」が定着しているといってよいでしょう。
今回、小泉首相がちらつかせているのも、この七条解散です。
国民の意思を問う意味合い
否決されれば首相が決断も
憲法の規定や解釈には、英国で成立した慣行(憲法習律)に基づいているとみられるものが少なくありません。英国議会の起源は、貴族の領袖シモン・ド・モンフォールが一二六五年に召集した会議とされます。議会は権限を次第に広げ、十八世紀になると内閣が存続するためには議会、とりわけ下院の支持が必要だという議院内閣制の考えが現れます。解散は初め、国王の議会に対する対抗手段にすぎませんでしたが、国王の権力が名目化し、一八三二年以降選挙権が拡大されるにつれ、首相が国民の意思を問う国民投票の意味合いが色濃くなって来ました。
郵政民営化法案には賛否両論ありますが、重要法案であることは間違いありません。否決されたとき首相が民意による裁決を求めることは十分ありえます。解散がない参院での否決を理由に、衆院を解散するのはおかしいという議論もありますが、衆院で三分の二以上の多数を占めれば、参院の反対を無視して法案を成立させることもできます(憲法五九条)。そういう解散のぜひも含め、投票箱で決するということです。
郵政民営化法案の採決は会期末の八月中旬ごろになると見られます。国会での論戦に注目しましょう。
(久保谷 洋・ジャーナリスト)
2005年7月24日
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