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2国が国民投票で否決
仲間が増えて憲法で運営へ
憲法を作って、共通の大統領を選び、ヨーロッパ(欧州)を一つの国のように運営していこう。欧州連合(EU)で進められてきた、EU憲法の成立が難しくなっています。成立に必要なEU憲法条約の賛成、反対の意見表明に関して、フランスとオランダで国民投票が行われた結果、反対派が多数となったからです。
欧州を統合する試みは1950年代から実験的に始まり、70〜80年代に一時ストップしましたが、80年代末から急速に進んできました。ユーロという共通のお金を使い、人やモノが国境を越えて自由に動ける状況を作りました。EUに参加する国も、2004年5月、中東欧など10か国を迎え入れ、一気に25か国に増えました。
しかし、仲間が増えすぎて物事が決まらないんじゃないかという悩みが出てきました。それを解消するために、多数決のやり方を工夫し、みんなの意見を反映させて結論が出しやすいしくみをEU憲法で決めたのです。国際的な存在感を高めようと、EUの大統領や外相も選ぶことにしました。
加盟国すべての賛成が必要
EU憲法条約は、正式には「欧州のための憲法を制定する条約」といいます。基本的な考え方を伝える前文と四百48条の条文でできています。2年間の話し合いを経て、昨年6月のEU首脳会議で採択し、同10月に調印となりました。発効には25の加盟国すべての賛成(批准)が必要です。
これまでにドイツやスペインなど約十か国が賛成を決めました。しかし、5月29日にフランスで、6月1日にオランダで、それぞれ国民による投票で拒否されました。来年に国民投票をする予定だったイギリスでも、投票そのものをやめて、態度表明を先延ばしにしました。目標の06年11月の発効がとても厳しくなっています。
時間をかけて市民の理解を
どうして、2国で拒否されてしまったのでしょう。人々はこれまでは、国境の検問所がなくなり、お金の両替の手間が消えるなど、統合の恵みを感じてきました。しかし、どんどん仲間が増えて移民の流入や工場の国外移転など問題が起きる中、「これ以上、統合を先に進める必要があるの?」という疑問が出てきました。
2国の拒否は、EU憲法への批判というより、現政権の経済運営への不満や、統合の先行きが見えない不安が噴き出したと考えられそうです。また、たくさんの条文があるため、EU憲法の中身が、欧州市民にあまり知られていないという問題もあります。
しかし、これでEUが終わりというわけではありません。過去に結んだいろいろな条約でEUはちゃんと動き続けます。これまで何度もの危機を乗り越えてきた経験もあります。
時間をかけて、それぞれの国の指導者たちが市民への説明を続け、理解を広めていくしか、EUが先に進む方法はないようです。
(高野 真吾・朝日新聞外報部)
2005年6月19日
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