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「NPO」「ボランティア」
公益上、独り占めはダメ
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| 知的財産にまつわる争いが増えたのを受け、「知的財産高等裁判所」が4月1日に発足した=東京・霞が関で |
角川書店を傘下に持つ角川ホールディングスが、新聞・雑誌名として「NPO」と「ボランティア」を商標登録したところ、NPO(非営利組織)から「一企業がみんなの財産ともいうべき言葉を独り占めするのはおかしい」という強い批判の声が上がりました。異議申し立てを受けた特許庁は今月、角川の商標登録を取り消しました。
商標はトレードマークとも呼ばれ、商人や企業の信用を維持するために設けられた制度です。著作権や特許権とともに知的財産権の仲間とされています。
例えば、朝日学生新聞社と無関係な人が勝手に「朝日中学生ウイークリー」という名前の新聞を発行したらどうなるでしょうか。長年苦労して築き上げた「朝中」の信用はあっという間に横取りされてしまいます。読者も、どれが本物か見分けがつかず、右往左往してしまうでしょう。このような場合、新聞名を事前に商標として登録しておくと、その名前を自分だけが独占的に使える権利(商標権)が生まれます。他人が使った場合は「やめろ」といえるわけです。
それでは、なぜ角川の商標登録は取り消されたのでしょうか。もし、この商標が有効だと、「NPO」「ボランティア」という名前の雑誌は角川しか出版できなくなってしまいます。この点、特許庁は「特定の人に独占使用を認めることは公益上、適当とはいえない」との判断を示しました。長くNPO活動やボランティアに携わってきた関係者の反発に、配慮したということなのでしょう。
保護行き過ぎで金もうけも
現在、日本では約180万件の商標が登録されていますが、営業実態のない商標がかなりの数を占めています。企業は使われそうな言葉や記号などを「とりあえず」登録しておき、貸したり、売ったりしてお金を稼いでいるのです。これをいちがいに「悪い」とはいえませんが、商標の保護が「公益」と衝突するケースも増えてきました。
日本は、知的財産権を守る意識が薄いと指摘されてきました。その反動もあって、最近、国の戦略として手厚く保護しようという動きが活発化しています。ところが、それが行き過ぎて著作権を単なるビジネス、お金もうけの手段とみる風潮も強くなっています。
しかし、著作権制度の目的は、著作権を持つ作家や音楽家の権利を守るためだけではありません。優れた作品はある日突然現れるのではなく、先人の文化の積み重ねの上に成立します。著作物を最終的には「公共の財産」として自由に利用できるようにし、文化の発展に寄与できる仕組みを保障するという公益的な側面も、著作権制度の大きな柱なのです。
文化庁は、作者が亡くなってから50年間とされている著作物の保護期間を70年に延ばす検討を始めていますが、著作権切れの作品をインターネットで無料提供する「青空文庫」などが立ち行かなくなると批判する声が出ています。
確かに、死後70年というのは相当長い期間です。作者のひ孫の代にまで著作権を認める必要があるのか、議論の余地はあるでしょう。
みなさんはどのように考えますか。
(久保谷 洋・ジャーナリスト)
2005年5月29日
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