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 印パ関係改善の背景は?
 両国を結ぶバス路線開通

 カシミール分断 対立の歴史

 インドとパキスタンの北部にまたがるカシミール地方で4月7日、両国を結んで運行するバス路線が開通しました。
 バスは、約180キロ離れたインドとパキスタンの主要都市を結びます。この日、両国をそれぞれ出発した第一便には計約50人が乗り込み、喜びをかみしめました。
 この喜びの背景には、カシミール分断という両国の暗い歴史があります。分断されたのは両国が1947年に英国の植民地から独立した直後で、「カシミールは自分の領土だ」と主張し合ったインドとパキスタンとの戦争が原因です。
 戦争は、独立後のカシミールがインドとパキスタンのどちらに入るかについての、当時のカシミール藩王の決断がきっかけでした。カシミールで少数派だったヒンドゥー教徒の藩王は、ヒンドゥー教徒が多いインドを選んだのです。住民の大半を占めるイスラム教徒は「インドではなく、イスラム教の国パキスタンに入れ」と主張して反乱を起こし、両国の軍隊も参戦しました。47〜49年の第1次インド・パキスタン戦争です。
 戦争は国連が間に入って停戦を迎えましたが、カシミールを分断する形で、事実上の国境である「停戦ライン」が引かれました。カシミールをめぐる衝突はその後も続き、両国間の戦争は第2次、第3次と繰り返されました。
 両国は70年代から核兵器開発にも乗り出し、98年には核実験をして、核保有を宣言しました。関係は悪化して、01年暮れ以降は戦争突入かといわれるほど緊張は高まりました。
 それが、停戦ラインをまたいで走る今回のバス路線開通があり、4月中旬にはパキスタンのムシャラフ大統領がインドを訪れ、同国のシン首相と一緒に、両国で親しまれているクリケットの試合を観戦しました。別のバス路線開通でも両国は合意しました。

 経済が好調、トラブル避ける

 最近の友好の兆しの背景には、両国の好調な経済があるようです。
 インドは近年、ハイテク産業を中心に経済成長が続いていて、国連安全保障理事会の常任理事国入りも目指しています。一方、パキスタンはテロとの戦いを通じて米国との関係を深め、経済も上向きです。だから今はトラブルをなるべく避けたいというわけです。
 とはいえ、カシミールについての両国の考え方は原則として変わっていません。パキスタンは「住民投票で、どちらの国に入るかを決めるべきだ」と主張し、インドは住民投票を拒否して、全域が自分のものだと訴えています。
 ですから、カシミール問題を軸とする両国の本質的な関係が今後どうなるか、今の動きからだけでは、何とも言えません。
 カシミールの住民をはじめ、両国民が平和で豊かに暮らせるよう、両国政府には過去のしがらみを捨て、本腰を入れて取り組んでいってほしいと思います。日本をはじめ、各国がどう貢献できるか考えることも大事です。

(古谷 祐伸・朝日新聞外報部)

2005年5月8日


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