こどもアサヒ > ニュースドンとこい! > ニュースドンとこい!過去一覧

 反日デモ 中国でなぜ広がるのか
 日本大使館に投石など暴徒化
反日集会で、日本製品の不買や歴史問題への抗議を訴える若者たち=9日、中国・北京市で

  中国各地で激しい反日デモが起きています。首都・北京では、約1万人にふくれ上がったデモ隊が、日本大使館に投石したり、日本企業のあるビルを壊したりして騒ぎました。デモは広州や深、成都などの都市にも広がりました。約3万4千人の日本人が住んでいる経済都市・上海でも2万人規模のデモが起き、総領事館や日本料理店などが被害に遭い、日本人の男性2人が襲われけがをしました。
 反日デモの暴徒化に対して、中国の警察は見て見ぬふりをしていました。これではいつまた投石騒ぎが起きるかわかりません。今後も、デモを各地で呼びかける動きがあるので油断はできません。
 日本政府が抗議すると、中国政府は暴力行為には遺憾の意を表しましたが、そもそもの原因は日本側にあるとしています。温家宝(ウェン・チアパオ)首相はデモについて、「日本政府の深い反省を引き起こすに違いない」と語っています。
 日本と中国は今年、国交を正常化して33年になりますが、お互いの不信感は根深く、何かあれば、すぐ火がつくガスが充満しているかのようです。

 「過去を反省しない」と訴え

 なぜこんなに簡単に反日が燃え上がるのでしょう。
 根底には「歴史問題」があります。日本は戦前と戦中、中国に侵略しました。「それなのに、日本政府と国会は中国侵略での破壊や虐殺をいまも認めず、正式な謝罪をする気すらない」と、デモに加わった中国の大勢の人たちは訴えています。
 小泉首相は靖国神社参拝を繰り返してきました。戦没者を追悼するのは当然との立場からですが、中国侵略の責めを負うA級戦犯をも祭った神社です。参拝をやめてほしいという中国側のたび重なる要請を聞き入れず、「過去を反省しない日本」という印象を中国内で広げています。
 こうした感情が、日本の特定の外交政策や経済進出への、中国内での反対論に結びついています。
 たとえば、日本は国連安保理の常任理事国入りを目ざしていますが、デモ隊はこんな歴史をすぐ忘れる国は常任理事国にふさわしくないと反対しています。中国各地で続く日本製品に対する不買運動も、「歴史」や日本の常任理事国入り反対などを理由に掲げています。

 愛国主義教育の行き過ぎも

 中国側にも、愛国主義教育の行き過ぎという問題があります。反日をあおって若者の愛国心を高揚させるやり方です。警察が反日デモの行き過ぎを許してしまったのも、厳しく取りしまればデモの怒りの矛先(ほこさき)が中国当局に向かう恐れがあったからです。
 反日デモは、インターネットを通じた呼びかけに若者が応じ、次々に拡大しました。今年は中国にとって、抗日戦争勝利60周年という特別な年です。愛国心が高まりやすいときなのです。東シナ海のエネルギー開発問題や尖閣列島の領土問題などでもネットを通じて反日感情が爆発しかねません。
 日本が、暴力の取りしまりを中国に強く求めるのは当然です。しかし私たちも、過去の中国侵略の事実を忘れてはならないと思います。

 (杉本 宏・朝日新聞外報部)

2005年4月24日


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します