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民間に資金供給、経済再建へ
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| 「民営化」でどこに向かうかが注目される郵便局 |
日本の郵便制度は、明治政府高官の前島密(ひそか)の提案に基づき、1871年(明治4年)につくられました。英国をモデルにしており、後に導入された郵便貯金、簡易保険も含め、ずっと国によって運営されてきました。その郵便、貯金、保険という郵政三事業の民営化が政治の焦点となっています。
なぜ、いま、郵政事業を民営化する必要があるのでしょうか。第一に「民間にできることは民間に」ゆだねることにより、組織が効率的に運営され、利用者である国民に安い値段でより良いサービスが提供されると考えられるからです。
確かに民間にアイデアも資金もなかった時代に、国が郵政事業を推し進めることは近代化に必要なことでした。しかし、現在では民間業者が郵便と同じようなサービスを始めており、例えばダイレクトメールは宅配便で送られてくるのがふつうです。貯金や保険については、銀行や保険会社があります。「国営」はむしろ、民業圧迫との批判を浴びています。
第二に貯金・保険を通じて郵便局に集まったお金が経済をゆがめているからです。その総額は350兆円にものぼり、預貯金など国民の金融資産の4分の1にあたりますが、多くは国や特殊法人に流れ、むだの多い官業を温存する役割を果たしてきました。
そんなことを続けていたら、日本の産業は国際的な競争に敗れてしまいます。民営化は言い換えると、民間に十分な資金を供給し、先見の明がある企業が発展し、既得権益の上にあぐらをかく非能率な企業がつぶれるような経済の新しい仕組みをつくることにほかなりません。郵政民営化が「改革の本丸」と呼ばれるのはこのためです。
反対も根強く痛み伴う改革
社会全体の利益考えるべき
政府は今月4日、民営化法案の政府案を正式に決めました。@これまで一体だった郵政事業を、全国の郵便局舎を引き継ぐ「窓口会社」と「郵便会社」「貯金会社」「保険会社」の計4つの株式会社に分けるA4社の株式は当面、政府が出資する持ち株会社が保有するが、「貯金会社」「保険会社」については2017年3月末までにすべて民間に売却する(従って、完全に民間会社になる)――という内容です。ただ、とりまとめにあたっては自民党内から強い反対の声が上がりました。
反対派の論拠は「全国の郵便局網が解体され、一律のサービスが提供できなくなる」という点にあります。全国に一万九千ある特定郵便局の局長会は自民党の有力な支持基盤なので、その権益を守りたい意識も働いていると思われます。
政府は妥協を強いられました。最も重要な変更は貯金、保険の2社の株式はいったん全部放出するが、17年4月以降は買い戻してもよいとされた点でしょう。民営化推進派からは「再国営化を認めた」との批判が出ています。
いずれにせよ、郵政民営化は「1+1=2」といったような「正解」がある問題ではありません。例えば、国鉄は民営化によってJRとなり、年中行事だった運賃値上げがほとんどなくなりました。半面、3000キロ以上の路線が切り捨てられ、多くの職員が配置転換やリストラの対象になりました。
改革には痛みが伴います。それでも、郵政民営化は社会全体の利益になるのか、じっくり考えた上で結論を出すべきでしょう。
(久保谷 洋・ジャーナリスト)
2005年4月17日
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