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| 無事に解放された船長ら乗組員(左の3人)=21日、タイ南部サトゥーンで |
身代金を狙って犯行相次ぐ
マレーシア沖のマラッカ海峡で、日本の船が海賊に襲われて日本人船長ら3人の乗組員が誘拐され、20日に無事に解放されました。身代金をねらった犯行とみられています。
海賊というと、コンピューターゲームやアニメでは架空のキャラクターとして登場します。でも、世界各地の海では、現代もなお活動している犯罪集団なのです。事件が起きたマラッカ海峡は、「海賊の巣」と呼ばれるほど活動が活発な海域でした。
襲われたのは、北九州市にある会社が所有するタグボートの「韋駄天(いだてん)」です。パイプラインの材料を運ぶために日本を出航し、シンガポールからミャンマー(ビルマ)に向かって北上していましたが、14日、マレーシアのペナン島の近くで、三隻の漁船に乗った海賊から銃撃を受けました。
そして、井上信男船長(56)と黒田俊司機関長(50)の日本人2人と、フィリピン人の3等機関士が、海賊に連れ去られました。船から現金(日本円で70万〜80万円)も奪われました。ほかの11人の乗組員は、幸い無事でした。
交通要所、国際協力で防止を
この海域は、2004年末のスマトラ沖大地震とインド洋津波で被害を受けました。それから2か月ほどは海賊行為がありませんでしたが、生活に困った海賊が現金を稼ぐために活動を再開したとみられます。被災地を支援するために来ていた外国の軍艦がこの海域から撤退し、海賊が活動しやすくなったこともあります。
マレーシア・シンガポールとインドネシアの間にのびるマラッカ海峡は約960キロありますが、幅が狭く水深が浅いために、大型の船はゆっくりと航行するなど制約を受けます。しかも、小さな島々が無数に点在します。海賊にとって、船を容易に襲うことができるうえ、隠れ家も多いわけです。
世界の海賊を監視している国際海事局(本部・ロンドン)によると、この周辺の海域で04年にあった海賊事件は147件。世界の海賊事件(325件)のうち、五割近くが発生する最も危険な海なのです。
しかも、マラッカ海峡は1年間に7万5千隻もの船が航行し、世界の物流の3分の1、石油の半分が通過する経済の大動脈です。特に輸入原油の9割をマラッカ海峡経由で輸入する日本をはじめ、韓国や中国などアジアの国にとって、この海峡は物資輸送の生命線ともいえるのです。
このため、00年3、4月には、東京で「海賊対策国際会議」が開かれ、船員や船の積み荷を狙う武装強盗事件を防ぐための「東京アピール」が採択されています。海賊による事件をなくし航海を安全にするために、アジア諸国で情報を交換し犯罪組織を撲滅するための協力が、緊急の課題となっています。
(横村 出・朝日新聞外報部)
2005年3月27日
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