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攻撃を恐れて核を放棄せず
「六者協議への参加を無期限で中断します」。北朝鮮の外務省が先月10日、出した声明は世界に衝撃を与えました。
六者協議には北朝鮮のほかに韓国、中国、ロシア、アメリカ、日本が参加しています。目的は、北朝鮮を説得して核兵器の開発をやめさせることです。2003年8月から中国の北京で協議が始まり、これまでに3回開かれました。
アメリカは、北朝鮮がまず最初に核開発を完全にやめるべきだと強く迫っています。そうすれば、北朝鮮が必要な重油も提供するし、経済制裁をやめるとしています。しかし北朝鮮は、核兵器を先に放棄してしまえば、アメリカや韓国から攻撃されるおそれがあると警戒しています。協議では成果が上がっていません。
朝鮮半島では、今から50年以上前に、同じ民族である北朝鮮と韓国が戦争をしました。北朝鮮を助けたのは、同じ社会主義国の中国とソ連(今のロシア)でした。アメリカは韓国を応援し軍隊を派遣しました。戦争は1953年に終わりましたが、今でも韓国にはアメリカ軍の基地があり、北朝鮮と韓国の兵士が境界線でにらみ合っています。
北朝鮮は、その後も長いことソ連から経済や軍事の面で支援を受けました。しかし、ソ連が91年に崩壊し支援がとまりました。そのこともあって北朝鮮は広島や長崎で使われたような原子爆弾(核兵器)をつくり、軍事的に強くなろうと考えました。
変わらないアメリカの態度
核開発を外交のかけひきに
今年1月、アメリカでは大統領選挙で再選されたブッシュ大統領の2期目の政権がスタートしました。北朝鮮はブッシュ政権が、どう対応するかみていましたが、これまでと変わりがないと判断したのでしょう。6者協議への参加をやめると言い出しました。また、北朝鮮はこの声明で自ら国を守るために核兵器を製造したとも言っています。
2月下旬になって、北朝鮮の最高指導者である金正日総書記は、中国共産党の幹部に「条件が整えば、いつでも会談のテーブルにつくだろう」と語り、6者協議への復帰の可能性について触れました。また、核のない朝鮮半島を守り、問題を平和的方法で解決するとも言っています。
北朝鮮の声明は、自分たちの立場を有利にするための外交上のかけひきとの見方も出ています。しかし時間がたてば、北朝鮮では核兵器の生産が進み、軍事的に有利になります。6者協議への参加を拒むのは、そうした時間かせぎの面もあるでしょう。
もし、北朝鮮がこれ以上、6者協議に参加しないことがはっきりすれば、アメリカは協議を打ち切るでしょう。その場合、国連の安全保障理事会で北朝鮮に対する制裁が議論されることになります。北朝鮮は「制裁は宣戦布告とみなす」と言っているので、世界が緊張することになります。お隣の朝鮮半島で戦争が再び起きれば、韓国はもちろん日本や中国、ロシアにも大きな影響が及ぶでしょう。周辺の国々は平和的な解決を望んでいるのです。
(桜井 泉・朝日新聞外報部)
2005年3月13日
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