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欧州にCIAの秘密収容所疑惑って?

東欧やアフガンに設置の報道
拘束された独の男性が訴訟

 米国のスパイ機関、米中央情報局(CIA)が海外に秘密収容所をつくり、捕まえたテロ組織の幹部らを入れて拷問を繰り返していたという疑惑がヨーロッパ(欧州)で吹き荒れています。欧州各国の政府も、CIAによる人権侵害を見て見ぬふりをしていたのではないかという疑いが強まっています。何が問題になっているのか、整理してみます。

 CIAの秘密収容所疑惑が欧州で持ち上がったのは先月初めです。米国の新聞が、東欧諸国やアフガニスタンなど計八か国に置かれていると報道したのがきっかけです。
 欧州で捕まえた人を秘密収容所に運ぶため、CIAが民間機を借り上げ、ドイツやイタリア、スペイン、ポルトガル、英国などの空港を頻繁に無断使用していたという疑いも出ています。

 こうした疑惑を裏付けるかのように、ドイツ国籍の男性(42)が今月初め、CIAを相手に訴訟を起こしました。訴状によると、この男性は2003年の大みそか、観光で訪れたマケドニアでアルカイダのメンバーだと疑われ、CIAによってアフガニスタンの秘密収容所に移されました。約5か月間拘束され、殴る蹴るの暴行と尋問を受けたあげく、アルバニアの山麓でひそかに解放されたと訴えています。
 イタリアでも03年2月に同様の事件が起き、ミラノの司法当局が捜査に乗り出しました。当局は事件にかかわったとされるCIAの工作員22人を誘拐などの罪で起訴し、身柄の引き渡しを米国側に求めています。

発覚しにくい地域で拷問か
「テロとの戦い」の中で乱用

 一連の疑惑で問題になっているのは、「拷問の輸出」と呼ばれるやり方です。人権意識の強い米国や西欧では、拷問はタブー視されています。しかし東欧などに秘密収容所を設ければ、そこでCIA工作員が何をしても発覚しにくいのではないかと考えられたようです。テロ情報を聞き出すため、拷問に甘いといわれる中東や中央アジアの政府にひそかに引き渡す場合もあると報道されています。

 こうしたやり方は、01年9月11日の米同時多発テロ以降の「テロとの戦い」で「乱用」されているとみられます。テロを起こされる前に何とかしなければならないという焦りに駆られているのでしょう。
 しかし、CIA工作員の場合、拉致・監禁の疑いが濃厚です。法的手続きを経てテロ容疑者を逮捕・尋問する警察のやり方とはちがいます。米政府は「拷問は認めていない」の一点ばりですが、秘密収容所に入れられ、家族や本国の政府との連絡がとだえるだけでも相当な精神的苦痛のはずです。

 テロとは無関係な無実の人が収容所送りになる危険性も高いです。実際、先のドイツ人男性の場合、CIAがまちがえて拘束したとドイツ政府はみています。そもそも、拷問で有益なテロ情報が得られるのか疑問だという声も出ています。
 テロ防止のためといえども、法をはずれてやりたい放題では、テロリストと大差なくなってしまいます。

  (杉本 宏・朝日新聞外報部)

2005年12月18日


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