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危険なビルはなぜ建てられたの
姉歯建築士が設計にかかわったマンションが続々と明らかに

60棟以上が耐震基準下回る
コスト減らすためごまかす?
 みんなももう知っているように、60棟以上のマンション、ホテルなどの耐震設計がごまかされ、震度5ほどの地震で倒壊する恐れがあきらかになりました。日本中のマンションの住民が不安になっています。

 この事件には多数の関係者がかかわっていますが、まず2人について書きます。1人は、耐震偽装の設計図を書いた姉歯秀次・1級建築士(48)です。マンションやホテル、病院や映画館などの高層の鉄筋コンクリートビルの中でも、高さ13メートル以上は、1級建築士でなければ設計できません。耐震強度を計算して柱や梁などの骨組みを決める「構造設計」の専門家は、約27万人の1級建築士のうち、約1万人といわれます。

 姉歯建築士はその1人でしたが、建設コストを削ろうと、柱や梁の太さ、鉄筋の数などを基準以下にごまかして設計していました。国土交通省に呼び出され、こう告白しています。

 「建設会社に『鉄筋の数を減らせ』と言われた。作り直した図面を持っていったところ、さらに減らすように言われた」「『これ以上減らすと安全性に問題が出るので減らせない』と言ったら『できないなら他の設計事務所に代えるぞ』と言われ、仕事がないと生活に困るので従った」

気づいても対応遅れ1年半
  もう1人は、1年半前に、このごまかしに気づいた東京都渋谷区の設計事務所の代表(44)です。

 この人も「構造設計」20年のプロです。04年1月、姉歯事務所が構造計算した10階建てビルの図面をある設計会社から「見てほしい」と渡されました。一見して、異常に気づきました。直径32ミリの鉄筋を17本は入れるべき1階の最下部の梁が、25ミリが5本しか入っていない。地震の時にかかる力が、基準の4分の1まで落として計算されていました。

 「柱や梁も細く、どれも常識では考えられない水準だった」「こんな図面が建築確認を通っていたなら大変だ」と、代表は、設計図の検査機関・日本ERIに訴えました。

 しかし1年半が過ぎました。今年10月半ば、代表はまた、姉歯事務所が構造計算した別のマンション建設の図面を見ました。やはり、柱や梁が極端に細く、鉄筋も少ない。検査機関・イーホームズが建築確認(許可)を出していました。

 「すぐ対応しなければ大変なことに」。代表の訴えで、イーホームズから報告を受けた国土交通省が11月17日、やっと偽造を発表しました

自治体でも担当者が見逃す
  この1年半の間に、危険な建物はつぎつぎに建ちました。姉歯建築士の構造設計は、過去のものも含め全国に約200件以上もあります。

 民間の検査機関、日本ERIやイーホームズなどの検査は、公の建築確認とみなされますが、きちんとプロの仕事をしていたか疑問です。

 自治体でも建築確認を受けられます。姉歯事務所が関与した偽装設計を、神奈川県平塚市や群馬県伊勢崎市、東京都台東区などの自治体の担当者が見逃していました。

 さらに問題のマンション、ホテルを計画・販売した建築主、建築会社などは、姉歯建築士に圧力をかけたのか、危険なマンションと知って売ったのか、警察の捜査を待たねばなりません。

  (遠藤 正武・ジャーナリスト)
2005年12月11日


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