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ハリケーンがアメリカ社会を直撃

対応めぐり大統領に逆風続く
差別論争やイラク派兵批判も
 アメリカ南部を八月末に直撃した超大型ハリケーン「カトリーナ」によって、千人以上もの人が亡くなりました。世界一豊かな国で、これほど大きな被害が出たことに世界中の人々が驚かされました。

 特に被害がひどかったのが、ルイジアナ州にあるニューオーリンズという街でした。ジャズ音楽が生まれたところとして有名な観光地です。街の多くが海面よりも低いところにあるため、強風と高波によって運河の堤防が壊れると、あっという間に街の八割が水に沈んでしまいました。

 貧しい地区に住む人たちは、避難する車を持っていないため、水没した家に取り残されて犠牲になりました。その多くが黒人だったため、アメリカ国内で「豊かな白人」「貧しい黒人」という人種差別が大被害の原因になったとの論争も起きました。

 被災者から政府に対して「対応が遅い」との非難が巻き起こり、ブッシュ大統領への支持率は、就任以来最低の三八%(ニューズウィーク誌)に落ち込みました。

 汚名返上をしたい大統領は九月十五日、ニューオーリンズに乗り込んで「ハリケーンが来る前よりも、いい街にする」と演説し、復興資金として約六百二十億ドル(約七兆円)を議会で確保しました。このほか、南部でカトリーナと同じくらいの激しいハリケーンや洪水にも耐えられるような災害対策などをする計画です。全部合わせると、約二千億ドル(約二十二兆円)かかるといわれています。

 しかし、この大盤振る舞いには「国の赤字を増やし、子どもや孫の世代にまで借金を負わせることになる」と反対の声もあがっています。いまアメリカが巨額の予算を使って続けているイラクへの兵士派遣などの軍事費を削って、災害対策などに振り向けるよう求める意見も出ています。

石油産業が集中、景気に影響
「リタ」上陸で進まない復興
 日本にとってもひとごとではありません。ハリケーンの被害を受けた地域は、アメリカの石油産業が集中しているところでした。アメリカでガソリンが不足して景気が悪くなり、世界経済に混乱が生じる恐れがあります。そこで日本を含む世界の国々がそれぞれ備蓄している原油やガソリンを世界市場に放出することを決めました。

 九月二十四日にも、大型ハリケーン「リタ」がアメリカ南部に上陸しました。住民があらかじめ避難していたため、被害は少なくてすみました。しかし、堤防が壊れたニューオーリンズでは、街の一部が再び水没してしまいました。九月末にようやく住民に家に帰ってもよいという許可が出ましたが、下水や工場の廃油で汚れた水に覆われた街で病気が広がる心配もあります。

 ハリケーンは通り過ぎてもブッシュ大統領への「向かい風」は当分続きそうです。これがアメリカ社会を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

  (田井中雅人・朝日新聞外報部)

2005年10月09日


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