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 学んでおくべきホロコーストの歴史
 英国王子の仮装で物議
 非難の声やまず国際問題に

 イギリスでハリー(ヘンリー)王子(20)が新年の仮装パーティーにナチス・ドイツの軍服にハーケンクロイツ(かぎ十字、ナチスのシンボル)の腕章を巻いた姿で参加している写真が13日付の英大衆紙サンに掲載され、国内外で大きな問題になりました。
 王子は昨年、ロンドンのナイトクラブの前にはり込んでいたカメラマンに殴りかかるなど、これまでもたびたび騒ぎを起こしていますが、今度の騒動は大きな国際的な政治問題に発展し、英王室は失態の火消しにやっきになっています。
 王子はその後、「人々に不快感を与え、当惑させたとしたならば、たいへん申し訳ありませんでした。下品な服装を選んでしまったことを謝罪します」との声明を出しおわびしました。しかし、非難の声は収まらず、ユダヤ人国家であるイスラエルのシャローム外相は「単に『悪趣味だった』で済ませば、ナチスの時代はそれほど悪くなかったのではないかという考えにつながるおそれがある」と警告。ユダヤ人団体などからは、ユダヤ人が大量虐殺された強制収容所の一つとして有名なポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡地に王子を招待し、歴史を学ばせるべきだとの声もあがっているそうです。

 ナチス・ドイツの罪、いまも
 今年解放60周年、風化に警鐘

 なぜ、王子の仮装がこれほど大きな問題になったのでしょうか。ナチス・ドイツが犯した罪が、欧州でそれほど重大に受け止められているからです。
 ドイツ民族の優位と反ユダヤ主義を主張したナチス・ドイツは、第二次世界大戦の間、多くのユダヤ人を迫害し、数百万人を強制収容所などで虐殺したとされています。これをホロコースト(大虐殺)といいます。ホロコーストの悲劇は「アンネの日記」や映画「シンドラーのリスト」などでも詳しく描かれています。欧州では、ナチス・ドイツのこうした行為がいまだにいろいろな所で深刻な影を落としており、冗談では済まされないほどなのです。
 しかも、今年はちょうどホロコーストからの解放60周年にあたり、追悼式典にはエリザベス女王も参列する予定になっていたため、王子のとった行動はことさら強く批判されることになったわけです。
 しかし、終戦後すでに半世紀以上がたち、人々の記憶が薄れていることは否定できません。BBC放送が昨年12月に英国の16歳以上の4000人を対象に行った世論調査では、アウシュビッツの名前を一度も聞いたことのない人が全体の45%にのぼり、35歳未満では60%を超え、若者の間でホロコーストに関する知識が乏しくなっている傾向が明らかになりました。若い王子がとった行動は本当に軽率でしたが、悲劇の歴史が風化しつつあることに対する警鐘になったともいえます。

 (大塚 誠・朝日新聞外報部)

(2005年1月30日)


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