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浅間山噴火 情報役立て被害者ゼロ

 21年ぶり中腹まで噴石飛ぶ

噴火から2日後、噴煙を上げる浅間山の火口(群馬県側から)=9月3日撮影で

 長野県と群馬県にまたがる浅間山(2、568メートル)が、1日、噴火しました。火口から飛び出た「噴石」が山の中腹まで飛び、火口の近くでは山火事も起きました。気象庁によると、「噴石」が山の中腹まで飛んだのは、1983年以来21年ぶりです。浅間山は過去に大きな被害を出している火山だけに、気象庁では警戒を呼びかけています。
 浅間山は、今もマグマが活動を続けている「活火山」です。気象庁では、活動の度合いにより、大変活発なAランクからさほどでもないCランクまで、活火山を3つに分けています。浅間山は、九州の雲仙岳や桜島などと同じAランクにあたります。気象庁が24時間態勢で監視している火山の一つでもあります。
 浅間山は、地中に新しい割れ目を作りながらマグマが昇り、いろいろな火口から噴火する火山ではありません。いつも同じ通り道をマグマが昇り、同じ山頂の火口から噴火するタイプです。噴火するかどうかや噴火の強さは、マグマからのガスの強さによって変わります。こうしたタイプの火山は、事前の予知がしにくいのが特徴。しかも浅間山はマグマに粘り気があり、突然爆発する山として、昔から知られていました。
 1783年の天明年間には、大噴火のため1.000人以上の人が亡くなりました。火口から噴き出したマグマが火砕流となって川をせき止めたため、川が決壊し洪水になりました。溶岩が固まった跡は「鬼押し出し」という観光名所として、現在よく知られています。
 気象庁によると、今年4月以降、浅間山はわりに落ち着いた状態が続いていました。しかし、8月31日には、火山性地震が1日あたり100回以上を数えました。翌日も地震が続いたため、同庁では「火山観測情報」を出して、注意を呼びかけていました。
 噴火が起こったのは、それから8時間後の9月1日午後8時2分。福島県相馬市まで火山灰が降り注ぎました。浅間山のふもとの群馬県長野原町などではキャベツの収穫中で、作物への被害が心配されています。

 活動レベルで立ち入り制限

 今回、気象庁は、爆発まで予測していませんでした。にもかかわらず、死んだりけがをしたりした人は1人もいませんでした。観光客や登山客でいつもにぎわっていますが、最悪の事態を逃れることができました。
 なぜでしょう。一番の理由は、気象庁が昨年から「わかりやすい活火山情報」を出し、それを地元の人たちがうまく防災に役立てていたからでしょう。
 「わかりやすい活火山情報」は、浅間山を始め、伊豆大島、雲仙岳、阿蘇山、桜島の五つの活火山を対象にしたものです。活動の強さで、それぞれ最も弱い0から活動が活発な5まで6段階に分け、火山の「現状」を発表しています。浅間山はずっと「レベル2」でしたが、7月20日、いったん「レベル1」に緩和。その後、7月末に再び「レベル2」に戻されました。
 浅間山の周辺の自治体でつくる「浅間山火山対策会議」では、この情報に基づいて、登山者や観光客をどこまで火山の火口近くに立ち入らせるかなどを決めていました。「レベル2」になったため、再び規制を厳しくし、立ち入りを制限していました。それが、突然の噴火にもかかわらず被害者ゼロにつながったのでしょう。
 予知までできなくても、できるだけわかりやすい情報を気象庁が出すことで、地元は防災に役立てる――「防災の日」(9月1日)にふさわしい教訓だったといえますね。

 (斎藤 智子・朝日新聞記者)

(04年9月12日)


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