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見つからない大量破壊兵器
アルカイダへの支援も否定
イラクのフセイン政権は、大量破壊兵器や生物・化学兵器を持っていて、国際テロ組織アルカイダとも関係がある。米国と英国はこの2つを主な理由として、1年4か月前にイラクで戦争を始めました。
ところが最近になって、両国の国会や政府の調査委員会が、これらの理由について「でたらめ」だったと指摘しました。いったいどういうことなのでしょう。
2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルなどを狙った同時多発テロが起きました。米政府は国際テロ組織「アルカイダ」の犯行と断定し、約1か月後、同組織のオサマ・ビンラディン氏が隠れているアフガニスタンを攻撃しました。
「テロとの戦い」を続ける米英両国が次の標的にしたのは、サダム・フセイン元大統領のイラクでした。イラクへの侵攻が「正しい戦争」である根拠として冒頭の理由を挙げたのです。
戦争を始める直前の昨年2月、米国のパウエル国務長官は国連安全保障理事会で、「イラクの脅威」の証拠として、トレーラーなどに生物兵器の実験・製造装置を積んだ7つの移動施設の存在を紹介しました。イラストまで公表して、「イラクの脅威の最も強固な証拠」と言ったのです。
しかし、米英による1年余りのイラク占領が終わり、暫定政権が誕生した現在も、この施設は見つかっていません。7月9日に発表された米上院情報特別委員会の調査報告書は、フセイン政権による大量破壊兵器の保有も、国際テロ組織アルカイダへの支援も完全に否定しました。7つの移動施設の情報も、でたらめだった可能性が強いのです。「欠陥情報」を集めた責任をとって、米中央情報局(CIA)の長官は辞任に追い込まれました。
フセイン政権を倒す口実か
一方、英国は、開戦前の2002年9月、イラクが大量破壊兵器の開発を続けていることを示す文書を公表し、「イラク軍は命令を受けて45分以内にこれらの兵器を使用できる」と、イラクの脅威の深刻さを世界に主張したのです。しかし、英国の独立調査委員会が7月14日に発表した報告書によれば、この「45分の脅威」の情報も大げさだったのです。
1万人以上が命を落としたイラク戦争は、間違った情報で始まったことが明らかになりました。それでも、ブッシュ大統領は「大量破壊兵器の製造能力があり、テロリストに能力を伝授できた米国の公然の敵を、見逃しておく余裕はなかった」と、今も開戦を正当化しています。ブレア英首相も「大量破壊兵器はもう見つからないかもしれない。だからといって、フセイン前政権が脅威でなかったとはいえない」と言っています。
米英両国は、フセイン政権を武力で倒すための口実をでっちあげたのではないか。専門家からはそんな指摘さえ出ています。
(望月 洋嗣・朝日新聞外報部)
(04年7月25日)
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