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三菱自、欠陥隠しで経営再建に打撃

 

タイヤ脱落母子死傷事故
同種の事故多発、対策怠る

  横浜市で2年前、三菱自動車製のトレーラーのタイヤが運転中に外れてぶつかり、歩いていた母親と子どもが死傷する事故がありました。この事故を調べてきた神奈川県警などの捜査当局は、関係する会社幹部らを、業務上過失致死などの疑いで立件する方針を固めたとみられます。車の構造に問題があることがわかっていながら対策をとらず、うその報告を続けていたとみています。三菱自動車はこれらの事故隠しなどで消費者の信頼を失い、経営が悪化してしまいました。4月23日には、資本提携していたドイツのダイムラークライスラー社も資金をこれ以上出さないことを発表し、大きな打撃を受けています。

トレーラーの車輪が直撃した事故で娘を亡くした遺族。謝罪を受けた後、遺影を手に涙ぐんだ=04年3月26日

 タイヤが外れる原因は、車輪と車軸をつなぐ「ハブ」という金属の部品が壊れるためです。三菱自動車製のトラックやバスなどで、ハブが壊れる事故は1992年以降、57件起きており、このうち51件でタイヤが外れていました。
 ハブは、なぜ壊れたのでしょうか。ふつうは、車に乗せた荷物が重過ぎたり、整備をしていなかったりすると、壊れることがあります。しかし、99年6月に広島県内の高速道路で路線バスのタイヤが外れた事故のように、荷物や整備に問題がない車でも、ハブは壊れていました。
 このような場合、メーカーとしては、ハブのつくりがもともと弱い可能性がある、と新聞などで公表し、同じつくりの車を買った消費者から車を回収して、無料で修理する「リコール」という対策をとらなくてはなりません。しかし、同社は、99年のバス事故のあと、国に出した事故報告書に「同じような苦情はない」「再発防止の必要はない」などと書いていました。
 2002年1月に横浜で起きた母子死傷事故のあとも、国土交通省の監査に対し、同社側は、ハブの設計ミスを示す分析結果だけを提出せず、リコールもたいへん遅れました。
 捜査当局では、母子死傷事故のあと、同社側の幹部らが、事件になったときに同社に不利になる証拠を隠すよう指示したのではないかとみて、調べています。
 同社はまた、00年7月の運輸省(現在は国土交通省)の調査で、お客からの苦情を十万件以上隠していたことがわかりました。当時の運輸省の求めで、同年八月、同社は苦情の内容を整理して提出しましたが、そのとき、ハブが壊れた過去の例は「98年に北海道で起きたトレーラー事故のみ」と報告していました。
 しかし実際には、98年4月からこの調査までの間に、ハブが壊れる事故は計10件も起きていました。「問題があることを三菱自動車側が隠したとしか思えない」と、当時の運輸省の担当者も話しています。

携帯先が追加支援打ち切り

 ドイツのダイムラークライスラー社が三菱自動車に対し、「追加の資金支援をやめる」と発表したのは、欠陥隠しをめぐる批判がますます強まる中でのことです。
 三菱自動車は、北アメリカでの事業がうまくいかなかったことや、リコールの遅れなど消費者を大切にしない姿勢が影響して、経営が傾いてしまいました。そこで、三菱銀行、三菱商事などの三菱グループや、ダイムラー社が一緒に7千億円以上の金を出し、会社の経営を立て直そうと、話し合いを続けていました。
 ダイムラー社が支援をやめたのは、これ以上の出資はダイムラー社自身の経営をあやうくする、という判断のようです。が、最もあてにしていた「主役」が降りたことで、三菱グループはショックを受けています。

(斎藤 智子・朝日新聞記者)

(04年5月9日)


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