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回転ドアの事故 なぜ起きたか
センサーが動かない設定に
回転ドアに頭をはさまれ亡くなった溝川涼君の通夜の祭壇には、ランドセルが供えられていた=3月28日、大阪府吹田市で

 東京・六本木の「六本木ヒルズ」で、森タワーの二階入り口に設けた自動回転ドアに、先月26日、6歳の男の子がはさまれ、亡くなりました。その後の調べで、人が入ったことを感じてドアの回転を止めるセンサーが、背の低い幼児では感じとれないよう設定を変えてあったことがわかりました。六本木ヒルズでは、昨春のオープン以来、回転ドアの事故が相次いで起きており、安全確認に手落ちがあったのではないかと警察が捜査を始めています。最近の大型ビルにはつきものの回転ドアですが、事件をきっかけにドアを取り外すなど、利用を見直す動きが広がっています。

 亡くなったのは、大阪府の会社員・溝川光一さんの長男で、この春小学一年生になるはずだった涼君です。単身赴任している父親に会うため、春休みに母親と上京したものです。涼くんは、回転ドアの近くで母親の手を離し、小走りでドアの中に入ろうとし、ドアのガラスとステンレス製の固定枠の間に頭をはさまれました。
 警視庁は30日、ドアを作った業者の親会社である「三和シヤッター工業」や、六本木ヒルズを管理する「森ビル」などを、業務上過失致死の容疑で家宅捜索しました。

安全基準はなく事故が多発
 

 自動回転ドアは、人が無理に入るとセンサーが感じて自動的に止まるしくみです。しかし、身長117センチの涼君は、そのセンサーに引っかかりませんでした。三和シヤッターによると、高さ80センチから感じとれるように設定してあったのを、その後、高さ120センチ以上しか感じとれないよう変えたそうです。
 なぜなのでしょう。三和側によると、去年12月、6歳の女の子が別の自動回転ドアに体をはさまれる事故があり、森ビル側がドアの前に駆け込みを防ぐ柵(さく)を置きました。ところが、今度は柵についたベルトが風で揺れ、そのたびにセンサーが誤って働いて、ドアが停止するというトラブルが相次ぎました。このため、森ビル側の苦情を聞いて、センサーの設定を狭めたと説明しています。森ビル側は、こうした変更を認めたことはない、と話しています。
 ただ、センサーが働いて動いているドアが完全に止まるには、一定の時間が必要です。事故を起こしたドアでは、感知してから25センチは動くそうです。これでは、正常に働いても間に合わなかった可能性が濃厚です。
 森ビルによると六本木ヒルズには大小の回転ドアが計四十五基ありますが、昨年四月から今年2月までに回転ドアにはさまったりぶつかったりした事故は32件もありました。同タイプのドアでは12件。昨年6月には、8歳の男の子が首をはさまれ、病院に運ばれる事故も起きています。森ビル側では重大視していなかったのでしょうか。
 回転ドアは、この数年、大型ビルなどで広く設置されています。ビルの管理業者にしてみれば、ふつうの自動ドアと比べ、開け閉めのたびに外の空気が入り込まず、冷暖房の費用が少なくてすむからでしょう。しかし、事故をきっかけにした朝日新聞社の調査では、回転ドアにはさまれる事故が、全国で少なくとも140件以上起きていることがわかりました。被害者には幼児などの子どもが大変多く、お年寄りがこれに続きます。
 実は、回転ドアには、建築基準法上の安全基準はありません。このため、国土交通省では、全国での実態調査に乗り出すとともに、安全のためのルール作りを始めています。

 (斎藤 智子・朝日新聞記者)

(04年4月11日)

 


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