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市民が参加する裁判員制度とは?
 

殺人事件など、重大な刑事裁判の審理に、ふつうの市民が参加する「裁判員制度」が実現しそうです。制度についての法案が今の国会で可決、成立すれば、数年の準備期間をおいて実施されることになります。(山口 進・朝日新聞社会部記者)

裁判員制度について知ってもらおうと、兵庫県弁護会が開いた模擬裁判。裁判員役は公募した市民が演じた=1月31日、神戸市で
 事件ごと、くじで6人を選ぶ

  どんな人が裁判員に選ばれるのですか。裁判はどんな形になるのですか。
 事件ごとに、20歳以上の有権者からくじで選ばれます。中学生のみなさんが成人したころには、だれもが裁判員になる可能性があります。病気、仕事や育児・介護などでどうしても都合がつかない場合は辞退できます。政府の試算では、生涯に一度は裁判員を経験するのは100人に1人程度ということです。
 対象になるのは、死刑か無期懲役もあり得ると法律で決められている事件(殺人、強盗殺人など)や、意図的な犯罪行為で被害者を死亡させたもの(傷害致死など)です。こうした事件は今のところ、全国で年間2800件程度あります。
 裁判員は6人。プロの裁判官3人と一緒に、合計9人で審理します。
 法廷では証人の証言を聴いたり、罪に問われている被告に質問したりします。検察官や被告の弁護人の意見も聴きます。その後、「被告は罪を犯した」とする検察側の主張は十分に証明されたかどうか、つまり被告は有罪か無罪か話し合い、結論を出します。有罪なら、刑の重さについても決めます。
 被告が罪を認めている事件では裁判員4人、裁判官一人でも審理できます。

 透明化で信頼できる裁判に

  どうして裁判員制度をつくるのですか。
  裁判の内容に市民の健全な社会常識がより反映されるようにするためです。そうすることで、市民の司法に対する理解や支持が深まり、司法はより市民に根差した強い基盤を持てるようになります。
 ちょっと言い方を変えてみましょう。これまでの裁判では、法廷は公開されていましたが、審理の場はプロの裁判官だけで、いわば秘密に行われてきました。そこに市民の目を入れよう、透明化しよう、ということなのです。具体的にいうと、裁判官が、これまではあたりまえだとして疑わなかったことについて、「なぜそうなのか」「本当にあたりまえなのか」と絶えず問いかけていく役割が、裁判員には求められているといえます。
 どんな分野でも、少数のエリートが専門家であるというだけですべてを決め、市民はついていくだけというシステムではやっていけなくなってきています。市民が裁判を信頼できるようにするために、透明化が必要なのです。
 また、裁判が速く、わかりやすくなるという効果もありそうです。裁判員には、仕事や育児を休んで裁判所に来てもらうわけですから、今のように、何年も、とびとびの日程で裁判をやっているわけにはいきません。そこで、初公判前に事件の争点と証拠を整理します。こうした「お膳立て」を十分したうえで、裁判が始まります。単純な事件なら1日で終わるでしょうし、被告が争っていてもそんなに複雑でなければ、連日法廷を開き、1―2週間で決着がつくでしょう。

 「口止め」のあり方が問題

  問題点はどんなところにあるのですか。
  裁判員は、審理の過程で、被告や被害者、関係者のプライバシーを知ることになります。また、どのような議論で結論が出たのかについても、よくわかっています。こうしたことを外部に話したら、重い場合は刑務所に行かされること(懲役刑)もある、というのがいまの政府案です。外部にまったく自由に話せることになると、逆に、評議で言いたいことも言えなくなってしまうのではないかというおそれがあるからです。しかし、これでは重すぎるし、参加してどういう意味があったのかを伝えるうえでも足かせになるとして、批判が集まっています。

(04年2月15日)


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