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ウクライナ大統領選でなぜ混乱?

 不正の疑いで無効、やり直し

 大統領選挙の決選投票の結果をめぐり、ウクライナが大混乱におちいりました。国が分裂するとも言われましたが、結局、決選投票をやり直すことになりました。危機はひとまず避けられましたが、今後も予断を許さない状況が続きそうです。
 混乱を招いた決選投票は11月21日にありました。候補者は与党のヤヌコビッチ首相と、野党のユシチェンコ元首相です。中央選挙管理委員会はヤヌコビッチ首相の当選を発表しました。得票率の差がわずか約3ポイント(3%)という大接戦でした。
 これに対し、ユシチェンコ元首相は「選管の集計はでっちあげだ」と抗議し、自分が勝利者だと宣言しました。彼の支持者も次々と首都キエフの中心部に集まり、気勢を上げました。
 各国も選挙結果を疑問視しました。パウエル米国務長官は「選挙結果は受け入れられない」と発言しました。実際、全国規模で行われた民間の機関による出口調査では、いずれもユシチェンコ元首相の勝利という結果でした。ほかにも、同じ有権者が何度も投票したり、投票箱が消えたりした事例が報告され、必ずしも公正な選挙だったとはいえないようです。ウクライナ最高裁判所はヤヌコビッチ首相の当選を無効と判断。12月26日に再び決選投票が行われます。

 東は親ロシア、西は欧米志向

 混乱を引き起こした背景には、同じウクライナといっても東部と西部とでは歴史や文化が異なるという事情があります。
 石炭や鉄鉱などで国家経済を支える東部は、ロシアと国境を接しています。長く帝政ロシアの影響下にあり、旧ソ連時代には工場労働者として大量のロシア人が移り住んできました。現在でも人口の六割がロシア人といわれ、経済的にも文化的にもロシアとのつながりが強いのです。そうした東部の有権者に支持されたのが、ロシアとの関係の大切さを訴えたヤヌコビッチ首相でした。
 一方、西部は農業が盛んです。15世紀ごろからたびたびポーランドの支配を受け、住民は伝統的に東欧の文化的影響を色濃く受け継いでいます。住民の7割がウクライナ人で、ロシア人は一割ほど。欧州諸国と国境を接しているため、住民は欧州の豊かさを実感しており、欧米志向が強いのです。隣国のポーランドやリトアニアが5月に欧州連合(EU)に加盟し、ウクライナ西部の住民は「次は我々も」と願っています。ユシチェンコ元首相は、EUや北大西洋条約機構(NATO)に早く加盟することを公約に掲げて西部で高い支持を得ました。
 現職のクチマ大統領はプーチン・ロシア大統領と協調する政治を行ってきました。今回の選挙には、次の大統領のもとでロシアとの関係を大事にするのか、それとも欧州との関係を強めていくのかという、将来の国のあり方をめぐる有権者の考えの違いがくっきりと表れたわけです。

 (北川 学・朝日新聞外報部)

(04年12月12日)


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