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イラク、治安が悪化して復興に遅れ
戦争終了宣言から3か月
 アメリカのブッシュ大統領が、イラク戦争の事実上の終了を宣言してから、3か月がたちました。戦争に参加したアメリカやイギリスは、国の建て直しをいま急ピッチで進めています。
 イラクは、1991年の湾岸戦争以降、国連制裁で最大の収入源である石油の輸出がほぼ禁じられていたため、社会の発展が滞っていました。また今回の戦争で水道や電気、道路、建物などが被害を受けた上、これまで政府や企業の要職についていた与党バース党の人たちが仕事から追われたため、新しい仕組みを1日も早く作らなければならないのです。
 しかし予想されなかった事態が、復興の取り組みをはばんでいます。それは治安の悪化です。軍や警察が解体され、取り締まる人間がいなくなり、大統領宮殿や役所や病院、企業、旧政権幹部の家などから、ありとあらゆるものが盗まれました。アメリカ軍が街のあちこちで警備にあたるようになった後は、こうした略奪は少なくなりましたが、今度はアメリカ兵を狙った攻撃が始まりました。
 当初は、ピストルを使ったり、爆弾を持って体当たりしたりする方法でしたが、最近はミサイルやロケット砲を使うなど激しさを増しています。すでにアメリカ兵だけで50人以上が死んだほか、反撃などでイラク人にも多くの犠牲が出ています。
 アメリカ兵を狙う理由はいくつかあります。1つは、一向に復興が進まない状況に不満を持つ市民が増えていること。次にアメリカ主導の国造りの進め方に、フセイン政権時代の要職にあった人たちや、宗教関係者が強く反発していること、などです。旧イラク軍や警察などの武器が大量に残され、街で比較的自由に売買できることも、攻撃が増える原因の一つとなっています。イラクを担当するアメリカ軍のアビゼイド中央軍司令官は7月16日、「ゲリラ型の軍事作戦」と話し、組織的な攻撃であるとの考えを示しました。
米兵襲撃 フセイン元大統領の影

 アメリカ兵への攻撃を勢いづけているのが、生き延びているとされるフセイン元大統領の存在です。アメリカへの徹底抗戦を呼びかける元大統領のものとみられる録音テープが、何度か放送されました。
 アメリカは7月3日、元大統領の居所に関する情報について、2.500万ドル(約30億円)の懸賞金を払うと発表しました。22日には、元大統領の長男ウダイ氏、次男クサイ氏が潜んでいた北部モスルの豪邸を攻撃し、両氏を殺害しました。この2人の情報にもそれぞれ1500万ドル(約18億円)の懸賞金がかけられていました。アメリカ軍は、2人の遺体の写真をすぐに公表しました。フセイン一家の2人が死んだことを明らかにすることで、アメリカへの抵抗をやめさせたいという期待があったためです。
 しかしその直後からも、アメリカ兵が襲撃される事件が相次いでいます。またアメリカ軍だけでなく、国連や非政府組織(NGO)への攻撃もありました。イラクの治安の悩みは、しばらく続きそうです。

(藤谷 健・朝日新聞記者)

(03年8月3日)


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