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北朝鮮はなぜ「核保有」を表明したの
米朝中三者協議
 朝鮮半島の情勢が緊張の度を強めています。北朝鮮が「核保有」を表明したからです。北京で4月25日までの3日間開かれた米朝中三者協議で、北朝鮮代表の李根(リグン)氏が、米代表のケリー国務次官補に「我が国は核兵器を複数保有している」と告げたといいます。
 核開発の疑いはずっとありましたが、北朝鮮自らが保有を認めたのは初めてでした。寧辺(ヨンビョン)にある八千本の使用済み核燃料棒についても「再処理をほぼ完了した」と語ったとされていて、本当なら、北朝鮮は新たな核兵器の材料を手にすることになります。
 もっとも、発言の真意は明らかではありません。直ちに兵器として使えるものなのかどうかもわかりません。いずれにせよ、このまま核武装化に突き進む事態だけは避けなくてはいけません。
 緊張を高めては最大の利益を得ようとする「瀬戸際外交」という見方もできるでしょう。実際、北朝鮮側は、これで協議を決裂させようという姿勢ではなく、三者協議のあと、「核問題の当事者である朝米双方の憂慮を同時に解消できる、新しい寛大な解決方法を打ち出した」という談話を発表しています。米国の出方次第で妥協できる姿勢をほのめかしているといえます
生き残りをかけた外交手段か
 北朝鮮の国家としての最大目標は目下、「生き残り」です。ブッシュ米大統領から「悪の枢軸」と名指しされた北朝鮮を含む三国のうち、イラクのフセイン政権が米国の圧倒的な軍事力の前に崩壊したばかりですから、なおさらでしょう。
 だから、北朝鮮は、今の体制を維持できるよう認めてもらう約束を超大国の米国から取り付けることに主眼を置いているようです。米国が敵対的な政策を放棄することを条件に、核開発計画の放棄や査察の受け入れ、弾道ミサイルの試射凍結、ミサイルとその関連技術の輸出停止に応じる可能性にも言及したようです。
 ちょっと不思議に思う人がいるでしょう。朝鮮半島は、同じ民族が北(北朝鮮)と南(韓国)に分断されていますが、三者協議にはその韓国が参加していないからです。
 実際、韓国抜きの三者協議の開始が明らかになると、韓国国内には波紋が広がりました。
 韓国の中央日報という新聞が、4月17日付の社説で「直接の利害当事者である韓国が排除されたのは実に遺憾である。特に韓国排除を北朝鮮が求めたとの事実は衝撃的だ。韓国にさまざまな支援を要求する一方、いざ朝鮮半島の運命にかかわる協議になると『外部勢力』を相手にするという北朝鮮の態度は余りにも表裏が違いすぎる」と述べたほどです。
 「米朝直接交渉」を主張する北朝鮮と、韓国や日本も巻き込んだ「多国間協議」に持ち込みたい米国とのぎりぎりの接点が中国を含む三者協議だったと言えるでしょう。問題を戦争ではなく、外交手段で解決するためにも、韓国はもちろん、小泉首相が昨年9月に訪朝して日朝平壌宣言にこぎつけた日本、また、かつてプーチン大統領との首脳外交が活発に展開されたロシアも協議の枠組みに加わることが望ましいでしょう。

 (飯竹 恒一・朝日新聞記者)

(03年5月11日)


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