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憶測とび交う金正日総書記の後継者
 北朝鮮のトップである金正日総書記の後継者についての憶測が日本や韓国の専門家の間で飛び交い始めています。北朝鮮は昨年12月に凍結すると約束していた核施設の再開を宣言し、先月24日には、日本海に向けてミサイル実験を行いました。米国や日本などの国々との緊張が高まっている中、北朝鮮の政治中枢の動きに直結する事柄として注目が集まっています。
社会主義国では珍しい世襲 東アジア全体が関心よせる
金正日総書記は2月16日に61歳の誕生日を迎えた

 北朝鮮は社会主義国家と呼ばれ、私たち日本や米国などとは政治制度の違う国です。議会はありますが、朝鮮労働党、軍といった組織が事実上、国の政策を決めていきます。その党と軍のトップが金総書記です。絶対的な権力を持つ指導者の後継選びは、日本を含む東アジア全体にとっての大きな関心事なのです。
 金総書記は、父親の金日成主席の1994年の死去で、トップの座に立ちました。社会主義国では珍しい最高指導者の世襲交代ですが、その後継体制への移行作業は金日成主席が還暦を迎えた70年以降に固まったことが知られています。金総書記は先月16日に61歳の誕生日を迎えており、後継者の話が出てもおかしくない時期というのが様々な憶測が出ている理由のようです。
 日本や韓国の多くの専門家は、再び世襲の形が考えられていると見ています。金総書記には異母兄弟の2人の息子がおり、このどちらかが後継者候補となるのでは、との見方です。
 1人は長男の金正男氏(31)。母親は4人の存在が知られている金総書記の奥さんのうちの故成恵琳夫人です。もう1人は、高英姫夫人との間に生まれた次男の金正哲氏です。夫人は元在日朝鮮人です。

 

長男の正男氏が有力だが… 次男の母親を権威付けか?

 儒教思想の強い北朝鮮社会においては、正男氏は長男であることで、後継者の有力候補といえます。しかし、2001年5月に正男氏と見られる男性が日本に密入国し、強制出国させられる事件が起きました。正男氏はその後、北朝鮮に戻ったことが確認されておらず、金総書記に不快感をもたれているのではないかとの推測も生まれています。
 さらに、北朝鮮は昨年夏ごろから、内部で「尊敬するオモニム(お母様)」との表現で、金総書記の夫人をたたえる動きを強めています。これは高夫人を指すものとの見方もあります。
 過去には、金総書記の後継体制固めが進められる過程で、その母親で金日成主席の夫人であった故金正淑夫人の偶像化キャンペーンが繰り広げられました。このため、夫人の権威付けを行うことで、正哲氏の後継体制への移行方針を内部的に示唆しているとの受け止め方が出ています。ただ、20代前半とされる正哲氏がどのような人物かは海外では知られていません。
 北朝鮮は経済状況が深刻であり、対外的にも核開発問題を巡って対米関係などでの緊張を高めています。安定した環境で後継問題を協議する状況とは思えないとの見方もあります。いずれも実情ははっきりしませんが、最高指導者に権力が集中する国だけに、憶測は今後も絶えることはなさそうです。

(古谷 浩一・朝日新聞記者)


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