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足利銀行 一時国有化はどうして?
破綻で政府が処理
記者会見で頭を下げる足利銀行頭取(中央)ら銀行幹部=11月29日、栃木県宇都宮市の同行本店で

  栃木県宇都宮市に本店を置いている地方銀行「足利銀行」が、債務超過に陥り、破綻(はたん)しました。破綻とは、銀行の「破産」です。このため、政府は11月29日、法律に基づいて足利銀行を一時国有化し、経営陣を全員辞めさせることに決めました。銀行に預けていたお客さんの預金は、全額、保証されますが、足利銀行の株券は価値がなくなりました。政府は、近く、新しい経営者を銀行の外部から選んで任命する予定です。また、預金を保証するために、私たちの税金にあたる「公的資金」をあてます。
 銀行を監督する金融庁のスタッフが、9月初めから足利銀行に入って調査していましたが、このほど、9月の中間決算で、約1023億円の債務超過になることがわかりました。来年の3月決算でも「債務超過になる」と宣告しました。債務超過とは、借金が銀行の財産を上回ることです。
 なぜ、銀行なのに、借金がこれほどかさんだのでしょう。
 最大の原因は1980年代、当時の銀行経営者が、土地を持っていた会社や経営者に対し、審査を十分にしないまま、返せないほど多額のお金をどんどん貸していったことにあります。
 そのころ足利銀行は、「アシカがよろしく――」などのテレビCMで、関東一帯にまで大変よく知られた地方銀行でした。地元栃木県の温泉や観光ホテルはもちろん、海外にもつぎつぎにお金を貸し、85年に2兆円あまりだった貸出金は10年後、倍以上にふくらみました。
 しかし、90年代初めから始まった不況で、借りた金を返せない融資先が急に増えていきました。北朝鮮への送金の窓口だったことも、銀行のイメージを悪くしました。政府は、2回にわたって国のお金(税金)を入れて経営を支えてきましたが、今回は、厳しく経営をチェックし、立ち直れないと判断しました。

公的資金を投入
預金を全額保証
株主責任は問う

 銀行の破綻について、政府は法律で、いくつかの条件やケースを決めています。ふつうの破綻だと、原則として預けていた預金は「元本1千万円とその利息まで」しか保証されません。当然、定期預金などの一部が戻らず、損害を被るお客さんが現れます。
 ところが足利銀行の場合、栃木県内で融資シェア五割を占めます。預金量も県内の金融機関全体の4割にのぼります。ふつうの破綻として処理すると、栃木県の金融や地元経済に、たいへん大きな打撃を与えることになります。パニックにもなりかねません。このため、政府は「金融危機対応会議」を開き、預金は全額、保証する処理方法にしたのです。
 そのかわり、こうした方法だと、足利銀行の会社としての株式の価値はなくなります。政府が強制的に株券を集め、国有化するからです。株券を買ってきた株主は、突然、株券が紙くずになってしまうわけです。栃木県と県内にある全12市ではこれまでに約10億2千万円の株を購入し、増資に応じてきました。経営を外から支えた株主としての責任も、こうした形で問うわけです。
 銀行の破綻は、これが初めてではありません。「りそな銀行」のときは、今回のような国有化の方法をとらず、株主責任も問わずに公的資金を入れたため、「政府は銀行に甘い」と、国民から批判を浴びました。
 政府が、足利銀行に投入する公的資金は、一説には1兆円を超えるといわれます。すべて、私たちの税金です。竹中金融大臣は記者会見で「足利銀行のこれまでの経営者に対しては、刑事、民事の両面で責任を追及すべきだ」と話しましたが、当然のことでしょう。

 (斎藤 智子・朝日新聞記者)

(03年12月14日)


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