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日本人留学生の寸劇、なぜ大騒動に?
中国・西北大学で事件

 中国・西安市の西北大学での文化祭で先月下旬、日本人留学生がひわいな寸劇を行い、怒った中国人学生が大規模な抗議行動を起こす事件がありました。日本人留学生がはめを外しすぎた部分があったことは確かですが、抗議行動が激しくなったのはなぜなのでしょうか。

 寸劇で3人の留学生は、Tシャツの上にブラジャー、下腹部に紙コップをつけて登場。後ろを向いて背中に書いた「日本」「ハートマーク」「中国」の文字を見せ、日中友好を訴えるつもりだったといいます。

 ところが他の演目は伝統舞踊など格調が高かったこともあり、観衆の中国人は「ばかにしている」と受け取ったらしいのです。日本の大学の学園祭なら問題にならないかもしれませんが、中国ではそうはいきませんでした。怒った中国人学生が謝罪を求めて千人規模の集会やデモ行進をして「日本人は出ていけ」と叫んだのをはじめ、留学生寮内に入って部屋を回り、無関係の日本人学生を殴ってけがをさせたほか、市内にある日本料理店を取り囲み、お客さんが避難する騒ぎになりました。

 中国人の日本に対する感情は複雑なものがあります。戦時中に日本から受けた戦争被害について、わだかまりを持っている人は依然として多くいます。さらに、8月にチチハル市で旧日本軍の毒ガスにより死傷者を出す事故が起き、9月には珠海市で日本人が集団買春をしたと報じられた問題も重なり「中国人を侮辱している」との批判が各地で巻きおこっていた矢先の事件でした。

 また、中国メディアの報道の仕方も騒ぎの拡大に影響したと言えます。一部の香港紙が、ひわいな格好をした留学生が「これが中国人だ」との札を下げていた、と報じました。これは日中友好を表そうとした寸劇の誤解だったのですが、報道を受け、インターネットや口コミなどで「許せない」という気分が急速に広まりました。逆に、日本人学生が殴られてけがをしたこと、寸劇が中国を侮辱する意図がなかったことなどは、中国主要メディアではいまだに報じられていません。

 また、騒ぎが広がった時点で、大学側は日中両国の学生を遠ざける方針をとりました。警察の力を借りて日本人留学生を市内のホテルに移しました。これが、留学生に「必ず謝れ」と要求した中国人学生を、より怒らせました。「騒いだ中国人が警察に捕まった」といううわさも広まり、「なぜ日本人は手厚く保護され、中国人学生が排除されるのか、と不公平感が高まった」と見る中国人関係者もいます。日本に比べて中国では正確な情報を十分に手に入れることが難しく、その分騒ぎが大きくなった、と言えそうです。

 外国に留学するということは、単に言葉や専門分野について学ぶということだけでなく、その国の人々の文化や歴史、考え方を学ぶことでもあります。今回の事件は、残念ながら、日本人のことを日ごろからよく思っていない中国人が少なくない、ということに気付かされるきっかけにもなりました。両国の友好関係の発展にはどんなことが必要か、みなさんも考えて欲しいと思います。

 (阿久津篤史・朝日新聞記者)

(03年11月23日)


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