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中国初の有人飛行成功の意味は?
米、ソに続く3か国目

 中国初の有人宇宙船「神舟(シェンチョウ)5号」が15日、中国北西部の酒泉衛星発射センターから打ち上げられ、翌日無事帰還しました。有人宇宙船打ち上げに成功した国は旧ソ連(現ロシア、1961年4月)、米国(同年五月)以来42年ぶり3か国目です。経済発展が続く中国は、大国にふさわしい技術力の高さも世界に誇示しました。

 飛行士の楊利偉(ヤンリーウェイ)さん(38)を乗せた宇宙船は、打ち上げの約10分後にロケットから切り離され、地球を14周回りました。約21時間後の16日朝に内モンゴル自治区の草原地帯にパラシュートで着陸。予測されていた着陸点との誤差はわずか4.8キロで、船体の破損はなかったといいます。

 楊飛行士は、空軍中佐。戦闘機などのパイロットを務めた後、98年に中国初の宇宙飛行士の一人に選ばれ、5年間にわたり訓練を受けました。正常に飛行を続ける神舟五号からの第一声は「良い気分です(感覚良好)」でした。地上の八歳の長男とも交信し、「私たちの美しい家を見たよ。見たものをすべて記録しておくよ」と語りかけました。

 中国のテレビは、特集番組を組み、発射場面や帰還した楊飛行士が手を振る様子を繰り返し流しました。国旗を持った市民らが街に繰り出し、国中が祝賀ムードに包まれました。

国民に誇り 大国の技術 世界へ示す

 中国の有人宇宙船計画は92年にスタートしました。国産の「長征ロケット」を使い、99年に初めて無人船打ち上げに成功。その後、有人飛行を目指して発射実験を重ねてきました。

 中国にとって宇宙技術の躍進は幅広い効果を持ちます。

 国内では、3月に世代交代したばかりの指導部にとって、国民をまとめる宣伝材料になります。市場経済化が進む一方で、貧富の差が広がったり党幹部の腐敗が深刻になったりして、国民の不満がつのっています。打ち上げ成功で中華民族としての誇りを高めれば、指導部の求心力が強まります。また、経済発展に役立つさまざまな関連技術の進歩にもつながります。

 国外では、米国、ロシアに次ぐ宇宙大国としての存在感を示し、国際的な地位を高めることができます。宇宙技術への信頼を獲得して、他国の衛星打ち上げを請け負うビジネス収入も期待できます。

 しかし一方で、中国の宇宙開発はミサイルなど軍事技術と一体でもあります。昨年春、有人飛行計画について当時の江沢民国家主席は「科学技術の進歩と国防の現代化に重要な意義がある」と述べています。今回の打ち上げに関する情報も直前まで機密扱いでした。宇宙開発が米国との軍拡競争や周辺への脅威につながってはなりません。

 日本の宇宙開発は、これまで欧米との協力を重視してきました。しかし、中国が新たな宇宙大国となった以上、今後はアジアとのつながりを見直し、さらに中国が宇宙の国際協調の流れに加わるよう力を注ぐことが必要でしょう。

 (山根 祐作・朝日新聞記者)

(03年10月26日)


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