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進まないイラク復興、主導権どうなる?
米国が国連に新決議案

 イラクの治安回復などを巡り、米国は10月2日、国連の安全保障理事会に新たな決議案を提出しました。イラクに多国籍軍を送り、復興などにかかるお金の負担も分かち合ってほしいというのが狙いです。

 ただ、再建の主導権は米国や英国が握ったままなので、「まず主権をイラク人に戻し、国連のもとで復興・再建を進めるべきだ」と主張するフランスやドイツなどと意見の調整が済むまでには、まだ時間がかかりそうです。

 これまで米国は、イラク問題に関して「国連の意向は関係ない」とばかりに、強気の姿勢を貫いてきました。イラク攻撃にしても、安保理では「まだ査察を続けるべきだ」と考える仏独などの反対で同意が得られませんでしたが、米国はこうした国際社会の反対論を振り切る形で、米英軍主導の攻撃に乗り出しました。

 米国が最近、ほかの国々との調和を大切にしない単独行動主義(ユニラテラリズム)に走っていると批判されるのも、世界一のパワーを持つ国のこんな一面があるためです。

 しかし、さすがに米国も今回、姿勢を改め始めています。ほかの国に軍隊もお金も出してもらうためには、国連の「お墨付き」が必要だと考え始めたためのようです。というのは、イラク現地の様相が混迷を深めているからです。

 ブッシュ米大統領が「戦闘終結」を宣言してから5か月余り。それなのに、イラクでは今も毎日のように米兵が襲われ、ニュースになっています。朝日新聞が国連報告書のデータを分析したところ、イラク全土で最近は連日20件以上の攻撃が起きています。治安は日に日に悪化し、住民の反米感情が高まっています。

姿勢に変化 再建の費用 各国に要請

 9月下旬、ニューヨークで始まった国連総会でアナン事務総長が演説しました。名指しこそしませんでしたが、大量破壊兵器の脅威には先制攻撃も認められるとするブッシュ政権の理論について、「世界の平和と安定を58年間保ってきた(国連憲章の)原則に対する根本的な挑戦だ」と手厳しく批判し、大きな拍手を浴びました。最近の米国の姿勢に疑問を感じている国が、世界には少なくないのです。

 イラクが再建に向けて歩み出すには、現地の人々が自らの手で物事を決める仕組みが必要です。復興にも大変な費用がかかりますが、正しく使われるという保証がなければ、世界の国々もお金を出しにくいでしょう。そのためには、「中立的な組織」と認められている国連が中心的な役割を担う必要があるように思われます。

 ブッシュ大統領は今月17日に日本を訪れ、イラク復興への支援を日本政府に要請する見込みです。下旬にはスペインでイラク復興支援国会議が開かれます。

 米国はイラク復興の主導権をどこまで国連に委ねるのか。その動向は、イラク問題にどこまでかかわるかを決める各国の決断を左右することになりそうです。

(萩 一晶・朝日新聞記者)

(03年10月12日)


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