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「反テロ」で軍事路線を強める米国
 昨年の9月11日、米国で同時多発テロが起きてから1年たちました。世界中に衝撃を与えた事件は、アフガニスタンのタリバーン政権の崩壊・新政府の発足をもたらしただけでなく、世界を大きく変えました。
イラク攻撃も辞さない姿勢 国連総会で米大統領が演説
12日、国連総会で演説するブッシュ大統領

 テロをきっかけに、米国は軍事路線を強めています。まず、各国に「我々の側に立つか、敵に回るか」と迫りました。タリバーン政権が崩壊した今、米国は「対テロ戦争」の相手を拡大しようとしています。まず、イラク、イラン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の3国を「悪の枢軸」と非難しました。8月15日に発表した国防報告では、テロ組織やテロ支援国家などに対し先制攻撃も辞さない、と宣言しました。

 さらに、テロ1周年の翌日にあたる9月12日、ブッシュ大統領はニューヨークの国連総会で「イラクはテロを支援し、テロリストをかくまう無法国家。(核兵器や毒ガス、病原菌をつかった生物兵器などの)大量破壊兵器を捨てなければ行動も辞さない」と演説しました。当分は国連と協調しながら、場合によっては米国単独でイラクを攻撃する考えです。

 テロ1年は、米国が新たな段階に入ったことを宣言する場にもなったのです。

 テロ後の経過をおさらいしてみましょう。4か所で当初6000人と言われたテロの犠牲者は、世界貿易センタービルでの犠牲者の確認作業が進んで約3000人だということが分かりました。がれきの撤去作業とともに続けられた行方不明者の捜索は、7月に打ち切られました。

 米国はテロの黒幕としてオサマ・ビンラディン氏のアルカイダを名指しし、ビンラディン氏らをかくまったアフガンのタリバーン政権を北部同盟とともに倒しました。タリバーンの指導者オマール氏とビンラディン氏の生死・行方は分からないままです。

 アフガンには6月、カルザイ氏を大統領として04年6月の総選挙までの移行政権が発足。しかし、治安は必ずしも良いとはいえません。9月5日にはカルザイ大統領の暗殺未遂事件や自動車爆弾の爆発などがありました。このように、アルカイダのテロと見られる事件は今も続いています。

中東では反感、ロシアは協調 テロ対策で日本も新段階へ

 かつてタリバーンを助けていたパキスタンには、タリバーンを見捨てた政府に反対する人たちが多くいます。中東などイスラム教徒の多い国々では、軍事色を強める米国に対する民衆の反感が強まっています。

 一方で、米国とかつての宿敵・ロシアの関係は改善しているようです。ロシアは、ともに独立国家共同体を形成する中央アジア諸国に、米軍の一時的駐留を認めました。中国も、米国の対テロ戦争を支持することになりました。

 日本では「戦争の放棄」を明記した憲法9条との関係が十分に話し合われないまま「テロ対策特別措置法」がつくられ、海上自衛隊の船がインド洋に派遣されて米軍などに燃料を補給しました。テロをきっかけに、日本も一歩を踏み出したと言えるでしょう。

(小倉いづみ・朝日新聞記者)
2002年9月22日


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