| 今年の夏、欧州や中東、アジアなど世界各地で深刻な水害が発生しました。欧州では8月に入ってからチェコからドイツに流れるエルベ川や、チェコのブルタバ(モルダウ)川の増水で大規模な洪水が起き、ドイツとチェコなどの中・東欧が大きな被害を受けました。ブルタバ川が流れ込むエルベ川では水位が例年よりも約10Fも高くなり、ドイツでは家屋が浸水しただけでなく、道路や鉄道が寸断され、被害額は少なくとも1兆7600億円、チェコでは2400億円以上と見積もられています。 |
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選挙前の独では政治問題化 観光地被害でチェコも苦境
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9月下旬に総選挙が予定されているドイツでは、今回の洪水被害が政治問題化しています。シュレーダー首相はこの洪水を「国家的な大災害」として、同首相率いる中道左派の政権は、2003年に予定していた減税を1年先送りして、洪水被災地の復興に計98億 (約1兆1500億円)を充てることを決めました。劣勢に回っている与党の挽回(ばんかい)を図ろうというわけです。ところが、野党からは「減税財源を復興に充てるのは不適切」との声があがり、首相の巻き返しを阻止する構えです。特に被害が大きかった旧東ドイツ地域は、総選挙の結果を左右するため、与野党の政治家は連日、被災地入りして復興への貢献をアピールしています。
チェコでは、観光地のプラハが大きな打撃を受けました。観光の目玉であるカレル橋が通行止めになり、中世の建物は水浸しで、ツアー客のキャンセルも相次ぎました。動物園でも市民に愛されてきた動物約100頭が洪水の犠牲になりました。チェコ政府は、大洪水で大幅な財源不足が見込まれるとして、2004年から配備する予定だった戦闘機の導入計画を中止する決定をしました。チェコは99年に北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、兵器の近代化を進めることが急務でした。チェコの決定は、NATOの戦略構想全体にも影響を与えそうです。 |
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ロシアや中国などでも死者 温室効果ガスの削減が必要
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一方、ロシアと中国でも洪水被害は深刻です。中国では全国で数百人が死亡し、被災者は6月以来、数千万人に上るとも伝えられています。湖南省の洞庭湖周辺では住民約60万人が避難し、はんらんを食い止めるため、計約100万人以上が動員されました。また、中国国境に近いベトナム北部でも洪水が発生し、首都ハノイ市内の一部も水に浸かりました。また、メコン川も増水し、カンボジアやバングラデシュなども被害を受けました。ロシアでも、黒海沿岸を中心に大きな被害が発生し、数十人が死亡、保養地などが水に浸かりました。
断定はできませんが、こうした大洪水の原因は、地球温暖化に伴う異常気象との指摘があります。非政府組織(NGO)の世界自然保護基金(WWF)は、気候変動を招く温室効果ガスなどを削減するため、河川を有効管理したり、エネルギーの1割は風力などから調達したりすることが必要だ、などと指摘しています。
(大塚 誠・朝日新聞記者)
2002年9月8日
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