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非人道行為を裁く国際刑事裁判所設立へ
アフガニスタンやパレスチナなどをみてわかるように、世界から戦争や紛争がなくならない中、戦場での大量虐殺や一般市民を標的にした非人道行為などの悲しいニュースも、残念なことになくなりそうにありません。
ICC条約が7月正式発効 虐殺や民族浄化などを防止

 でも、そうした残虐行為に手を染めた人物や、それを許可した上官などが、地位や国境の壁を盾に責任逃れをして許された時代は、終わりを告げつつあります。こうした犯罪についての個人の責任を国際法に照らして裁く、人類の歴史上で初の常設裁判所として、国際刑事裁判所(ICC)が来年、オランダのハーグにできるのです。

 ICCをつくるための条約は、1998年にローマで開かれた国際会議で結ばれました。条約が効力を持つようになるには、60か国が批准することが前提条件でした。今年4月11日に60を突破、条約で定められた移行期間を経た7月1日に、条約は正式に発効しました。

 こうした国際法廷の起源をたどると、まず第2次世界大戦後、敗戦国のドイツと日本の政治・軍事指導者を対象としたニュルンベルク裁判、東京裁判があります。ところがその後、米国とソ連の2大陣営対立が続いた冷戦時代は、国際法で個人を裁くという発想そのものが、東西対立の中に埋もれ、消えかかっていました。

 その構図は、90年代に入ってからの冷戦終了で変わりました。自由主義対共産主義という対立の「重し」が取れた分だけ逆に、欧州のバルカン地域やアフリカなどで民族紛争が相次ぎ、特定の民族を根絶やしにしようという「民族浄化」の犯罪まで登場しました。国連を舞台に、これを見逃してはならないという機運が強まり、旧ユーゴスラビアと、アフリカのルワンダでの戦争犯罪を対象とした2つの国際戦犯法廷ができました。

米国の反対が大きな障害に 対応問われる未批准の日本

 来年発足するICCはこれらの試みを強化し、犯罪が起きた場所や時期で、訴追対象を限定していないことに最大の特徴があります。条約が発効した今、これからの残虐行為は罰せられるということが、一定のブレーキになるのではないかと期待されています。

 ただし、ICCは早くも大きな障害に直面しています。世界でただ一つの超大国、米国が「世界中に派遣されている米兵らが、政治的な動機で訴追され、戦争犯罪人扱いされかねない」という理由でICCに反対し、加盟国には軍事援助をしない、など露骨な横やりを入れているからです。

 日本も、米国の顔色をうかがっているのか、ICC条約を批准していません。
欧州連合(EU)の国々のように積極的にICCに参加し、米国の反対は誤りだときっちり指摘する―本当はアジアのリーダーとして、それが求められているのではないでしょうか。

(梅原 季哉・朝日新聞記者)
2002年8月25日


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