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教科書検定、学習指導要領外もOKに
 「学習指導要領」という言葉を聞いたことがありますか。学校でどんな内容をどのように児童・生徒に教えるかを定めたものです。これまで教科書は、この学習指導要領を必ず守って作る決まりでした。ところがこれからは、これを超える内容でも、教科書に載せることができるようになります。文部科学省が方針を変えたためで、変化に富んだ教科書が現れることになりそうです。
文部科学省が方針を変える 自由になって多様な内容に
学習内容が約3割減った現在の中学の教科書。「学力低下」論の高まりに、2003年度の検定からは学習指導要領を超える内容の記述が認められることになった

 教科書の決め方について話し合ってきた「教科用図書検定調査審議会」が7月31日、文部科学省に提言を出し、その提言に基づいて同省が方針転換しました。今の教科書は、出版社が作った教科書の原案を同省の専門の調査官らが「指導要領を守っているか」などについて調べ、「教科書としてふさわしい」というお墨付きがついたものだけ出版を認めています。こうした手続きを国の「教科書検定」と呼びます。検定の結果、教科書の内容に多少の違いはあっても、学習指導要領にない内容が教科書に載る可能性は、これまではまずありませんでした。

 ところが2003年度の検定からは、小中学校の教科書で全体の1割まで、高校の教科書では2割まで、学習指導要領に載っていない内容を載せることができるようになります。1.指導要領の趣旨を大きくはみ出さない2.子どもの負担にならない3.主な学習内容と関係が深い――などの条件付きで、コラムや欄外、巻末などに限られます。また、いろいろな考え方がある問題については、一つの意見だけではなく、複数の考え方が紹介されます。

 もちろん、指導要領を上回るこうした記載については全員が学ぶ必要はありません。高校や大学の入試はこれまで通り、「指導要領の範囲内」から問題を出すよう求められます。しかし何はともあれ、今よりずっと教科書の内容がバラエティーに富むことは確かです。

4月から学習内容が3割減 学力低下への不安に応える
 どうして文部科学省は方針転換を決めたのでしょう。一番の原因は、2002年春からの新指導要領で、小中学校の学習内容が約3割、減ったことにあります。公立では毎週土曜日が休みになり、「総合学習」の時間も新設されました。確かにゆとりはできたでしょうが、保護者の間からは、3割も内容が減ったことで「子どもの学力が落ちるのではないか」という心配の声があがっていました。
 今後、指導要領を超えた内容を記載できるようにすれば、「3割カット」で姿を消した内容が、教科書によっては復活するかもしれません。親の不安にも応えられると考えたのでしょう。

 では、学校の先生たちは、どのように受けとめているのでしょうか。「そんなことをしたら、成績のいい生徒の多い学校と、そうではない学校との格差が、ますます広がるのではないか」と心配する声もあります。しかしよく考えると、授業は必ずしも「教科書を丸ごと教える」のではなく、「教科書を使って教える」もののはずです。いろいろな教科書が現れ、児童・生徒に応じて選ぶ幅が広がることは、個性豊かな人間を育てるうえでも、好ましいといえそうです。

(斎藤 智子・朝日新聞記者)
2002年8月18日


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