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人類の祖先で最古、700万年前の猿人化石
 人類の祖先としては最古の約700万年前の猿人と見られる化石が、このほどアフリカ中部のチャド共和国で見つかりました。これまで「最古」とされてきた猿人より100万年ほど古い男性の頭の骨です。この結果、かなり早い時期に、人類がチンパンジーとの共通の祖先から枝分かれして、「立って歩く」など独自の進化を始めていた可能性が高まりました。
アフリカのチャドで発見 100万年以上もさかのぼる

 化石が見つかったのはチャド共和国の首都ヌジャメナの北約800キロのトロスメナラ地域です。今より80倍ほど大きかったとされるチャド湖の湖岸付近で、当時は林もあり、さまざまな動物が暮らしていたようです。

 ここで、フランス・ポワティエ大学のミシェル・ブルネ教授率いる国際研究チームが、昨年7月から今年2月にかけ、頭の骨と下あごの骨の断片2個、歯3本を発見しました。1人の骨ではなく、5体のものとみられます。成果は7月11日付の英科学誌ネイチャーに発表されました。同じ地層から出てきたゾウの祖先の骨などからみて、600万−700万年前のものと推定されます。これは、2000年にケニアで発見された最古の猿人「オロリン」より100万年以上さかのぼります。

 とりわけ注目すべきは頭の骨でしょう。脳の容量はチンパンジーと同じ350cc程度で、形こそ類人猿に似ていますが、犬歯が短く先から平らにすり減っている点や顔の長さが短い点などは、ヒトに近い特徴です。額の出っ張りが厚いことなどから、大人の男性と思われます。

 「人類」と「類人猿」を分ける大きな違いは、「2本の足で立って歩いたかどうか」です。足などの骨が見つかっていないので確認はできませんが、頭の骨から背骨につながる穴の位置などから、立って歩いたことがわかりました。顔がへん平で、口が出っ張っていない点はこれまで見つかった猿人の特徴と異なるため、「新種」と断定されました。

従来の東アフリカ起源説くつがえる可能性高まる
 これまで人類は、東アフリカを最古の起源とする説が有力でした。当時、アフリカ大陸を東西に分ける溝(大地溝帯)ができ、東側の湿った森林が乾燥した草原にかわったこと。そんな環境の変化が「立って歩く」ことを促した一因とされ、東アフリカで頭の骨が見つかった「アウストラロピテクス」などが仮説を裏付けてきました。

 しかし今回の猿人は、大地溝帯から約2500キロも西に、アウストラロピテクスより300万年近く前に、既に初期の人類がいたことを示しています。つまりかなり早い段階から、アフリカ各地に人類の祖先が暮らしていた可能性が高まってきました。

 新しい人類の祖先は、サハラ砂漠の南の地域を指す「サヘル」と国名チャドにちなんで学名「サヘラントロプス・チャデンシス」と名づけられました。ちなみに愛称は「トゥーマイ猿人」。現地の言葉で「生命の希望」という意味だそうです。

   (斎藤 智子・朝日新聞記者)
 2002年7月21日


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