| ドイツ南西部とスイスとの国境にあるボーデン湖近くの上空で、1日午後11時40分(日本時間2日午前6時40分)ごろ、旅客機と貨物機が衝突して墜落し、71人が亡くなりました。旅客機には夏休みを楽しみにしていたロシアとベラルーシの子どもたちが大勢、乗っていました。 |
|
管制担当者が空の交通整理 空中衝突防止装置でも警報
|
|
衝突したのはロシア・バシコルトスタン共和国バシキール航空の旅客機で、モスクワを出発し、スペインのバルセロナに向かっていました。機長ら乗務員は12人。客は57人でこのうち約50人が10代の子どもたちでした。ロシアでは今が夏休み。学習コンクールで良い成績をとった子どもたちが団体旅行に行く途中だったのです。もう1機は会社の書類や荷物を海外に配達する会社「DHL」の貨物機で、乗っていたのは操縦士ら2人でした。バーレーンからベルギーのブリュッセルに向かっていました。
壊れた機体は湖の北岸にある町ユーバーリンゲンなど数十キロメートルにわたって飛び散りました。田園地帯で建物が少なかったため、地上で被害にあった人はいませんでした。
それにしても広い空の上で、どうして大きな飛行機同士が衝突する大惨事が起きてしまったのでしょう。空にも道路と同じように、飛行機が飛ぶことのできる「航路」が決められていて、「管制」といわれる交通整理が行われています。管制の担当者はレーダーで飛行機を監視し、高度や進む方向、スピードを考えながら、ぶつからないように無線で指示を出します。
飛行機同士が近づき過ぎてしまった時は、「空中衝突防止警報装置(TCAS)」が作動します。片方には「上へ」、もう片方へは「下へ」避けるように警報を出すのです。衝突した両方の飛行機ともこの装置はつけていました。
しかし、機械に頼るだけでは事故は避けられません。日本でもニアミス(異常接近)は起きています。昨年1月末、日本航空の旅客機同士が静岡県焼津の上空で約150メートルの距離ですれ違いました。管制官が飛行機の便名を取り違えて呼びかけてしまったのです。乗客乗員は合わせて677人。もしぶつかっていたらと、考えただけでも恐ろしいことです。
|
|
警報と逆指示、官制のミスか 事故再発防止へ原因究明を
|
今回のドイツの事故では、衝突約1分前に旅客機のTCASが「上へ」と警報を出し、その直後に管制担当者は「下へ」と逆の指示を出していました。そのとき、貨物機のTCASは「下へ」と指示していたのです。両方の飛行機のボイスレコーダー(音声記録装置)を分析して、わかりました。しかも管制担当者2人のうち1人は休憩中で、電話は保守点検中で使えない状態でした。衝突前に何が起きていたかの調査はまだ続きます。事故が再び起きないよう、原因を徹底的に分析しなければなりません。
世界中へ人や荷物が素早く移動できるようになり、便利になるほど空も混雑してきました。ジェット機同士が1秒で近づく距離は約500メートル。すぐれたシステムとともに機械を扱う人のすばやい判断力と高い技術が求められています。
(中山 由美・朝日新聞記者)
2002年7月14日
|