| 5月8日、中国の東北地方の中心都市・瀋陽にある日本総領事館に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民の男女5人が駆け込んで、中国の警官に捕まり連行されました。日本は「警官が許可なく総領事館に入った」として中国に抗議し、5人の身柄の引き渡しを求めました。一方、中国は「立ち入りと連行について日A本側の同意があった」と真っ向から反論。双方の主張の溝が埋まらないまま、5人は出国し、フィリピンを経由して23日に韓国に到着しました。 |
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亡命を求める北朝鮮の住民 駆け込みを取り締まる中国
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| マニラ経由で韓国に到着した北朝鮮の一家5人=5月23日、仁川空港で |
5人は北朝鮮からの難民で、外国への亡命を求めていました。強固な一党独裁体制を維持し、国民が自由に意見を発表することを認めない北朝鮮は、経済改革の波に乗り遅れ、自然災害が重なったこともあって、住民生活は危機的な状態に陥っているといいます。このため現在、自由と食糧を求めて北朝鮮から中国に逃れてきて潜伏する人は10万人を超えると見られています。彼らの大半は、経済的に豊かで同じ民族が暮らす隣国、韓国に行くことを目指しています。
しかし、共産主義の「兄弟国」ともいえる中国は、北朝鮮の体制維持のためにも、逃げてきた人たちを難民とは認めず、捕まえると北朝鮮に送り返してきました。送還された人の多くは収容所に入れられ、中には処刑される人もいるといいます。
このため、難民たちが、中国国内にある国際機関や西側諸国の大使館・総領事館に保護を求めて、駆け込む事件が頻発しています。今回、5人が中国に捕まりながらも韓国に行けたのは、5人の人権保護を求める国際世論に中国政府が配慮した例外的なケースでした。
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人権感覚の乏しさあらわに 日本は難民受け入れ拡大を
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また、今回の事件では、日本外交の人権感覚の乏しさが浮き彫りになり、難民の受け入れに消極的な政府の基本姿勢が問われることになりました。
警官と対応した副領事が、警官に取り押さえられて泣き叫ぶ女性の傍らで、警官らの帽子を拾う姿は何度もテレビで流されました。さらに、5人は亡命を求める手紙を副領事に手渡したにもかかわらず、そのまま手紙を返されていました。
法務省によると、日本で2001年に難民申請したのは353人で、そのうち認定を受けたのは24人でした。認定者が年間1万人を超える米国や英国、ドイツなどとは雲泥の差があり、日本は難民の亡命を事実上、認めていないに等しいと言えます。
日本は、世界や北東アジアの安定に責任を持つ国として、今後は難民への門戸を広げていく必要があります。特に北朝鮮から逃げてきた人たちについては、韓国や中国とも話し合って、保護策をつくる努力を早急に始めなければならないでしょう。
(山根 祐作・朝日新聞記者)
2002年6月2日
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