| みなさんは「沖縄」というと何を思い浮かべますか。サンゴ礁に青い海、安室奈美恵や「SPEED」を思い出す人がいるかもしれませんね。朝日新聞の世論調査では、3人に1人が「米軍基地」と答えています。太平洋戦争の末期、20万人を超す人々が亡くなった「沖縄戦」の遺産を、今も引きずっているのです。15日は、その沖縄が米国から日本に返還されて30年の節目を迎えました。 |
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| 那覇軍港では、ふだん米兵の姿をみかけることはあまりない=那覇市垣花町で |
沖縄は約160の島でできており、48の島に現在約133万人が住んでいます。もとは「琉球(りゅうきゅう)王国」といい、中国や東南アジアとの貿易で栄えていましたが、1609年に薩摩(さつま)藩
(今の鹿児島県)に武力で攻めこまれ、1879年には明治政府に日本の「県」の一つとして組み込まれました。
沖縄が大きく姿を変えたのは、日本が米国などと戦った太平洋戦争です。「沖縄戦」は1945年4月、米軍の沖縄本島上陸から約3か月続きました。死者の半数はふつうの県民で米軍だけではなく日本の軍人に殺されたり、集団での自殺を強いられたりした人も少なくありません。
戦争に負けた日本は52年のサンフランシスコ講和条約で独立を取り戻しますが、沖縄は米国に支配され、ベトナム戦争などの時に港や施設が利用されました。住民運動が実って日本の領土に戻るのは、72年5月15日。政府からは総額6兆7千億円ものカネが注ぎ込まれ、道路や港が造られました。国体や博覧会などが開かれ、大勢の人が観光目的で訪れるようになりました。
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米軍施設の4分の3が集中 米兵らの犯罪や高い失業率
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でも、どうでしょう。沖縄の抱える問題は、それから30年たった今もあまり解決されたとはいえません。
最大の問題は、あいかわらず「基地の島」だということです。米軍基地は県内に38施設、計2万3800f。日本全体にある米軍施設の4分の3が今も沖縄に集中しているのです。米軍機から照明弾や補助燃料タンクが住宅街に落ちた、などの事故は日常的に起きています。米兵らによる犯罪も減っていませんし、米兵が刑事事件を起こしても日本の警察がすぐに取り調べができない場合もあります。
95年、米兵たちが少女を暴行した事件をきっかけに、日米政府の間で話しあいが進み、本島中部の市街地にある米軍の普天間(ふてんま)飛行場を日本に返すことになりました。でも、かわりの米軍の飛行場は同じ県内につくるわけで、基地が減るわけではありません。
産業も遅れています。観光客相手などのサービス業は盛んですが、製造業の割合は日本各県で最下位。県民1人当たりの収入は全国一少なく、逆に失業率は全国平均の2倍もあります。 |
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産業活性化する新法に期待 日本全体で考えるべき課題
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こうした状況は、どうすれば変えられるのでしょう。その一つとして期待されているのが、今年4月にできた「沖縄振興新法」です。単に道路や建物を造るのではなく、沖縄にしかない条件を生かして独自の産業を起こし、豊かになる。それが新しい法律の狙いです。
ものによっては税率を特別に下げ、銀行や証券、コンピューター関連の企業が沖縄で活動したくなるようにする、世界から優秀な研究者を集め、自然科学系の大学院大学を造る――。いろいろな計画が盛り込まれています。19日、県と政府が催した「復帰30周年記念式典」で小泉首相が高らかにうたいあげました。
でも忘れてはならないのは、基地が減らない限り沖縄の悩みはなくならないということでしょう。基地は、日本全体にかかわる問題であり、私たちみんなが考えなくてはならない課題なのです。
(斎藤 智子・朝日新聞記者) |