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「有事法制」って何? 法案を国会で議論へ
 日本の国土に外国の軍隊が攻めてきた場合、自衛隊や日本に基地を置く米軍がどういう手続きで行動するかを定める法律案が、間もなく国会に提案されます。戦争や、外国の軍隊が国土を攻撃するような出来事を「有事」と呼び、この法律の名前も「有事法制」と一般に呼ばれています。
前は国土を攻撃された場合 ソ連崩壊後、日本周辺へ移る
海上自衛隊の潜水艦や艦船が停泊する広島県呉港
 日本にとっての「有事」とは何でしょう。太平洋戦争に負けた反省を元につくられた憲法の9条は、国と国との争いを解決する手段として武力を使うことや、軍隊を持つことを禁じました。ところが、日本の国土が外国の軍隊に攻められた時、日本を守るための戦争までは禁じていないという考え方が後に生まれ、日本の国土を守るための軍隊である自衛隊の誕生につながりました。
 つまり、日本の国土が外国の軍隊によって攻撃されるという戦争の形が、これまで考えられてきた「日本有事」の姿でした。
 日本に攻めてきた外国の軍隊と戦うのは自衛隊だけではありません。日本と米国の間で結ばれている日米安全保障条約5条では、日本が攻撃された場合には米軍も戦うことになっています。一方、同じ条約の6条には、日本に基地を置く米軍は、日本周辺のアジアの平和や安全を保つ役割、つまり日本国外の紛争を解決する役割もあると記されています。
 日本政府が有事法制の研究を始めたのは、今から25年前の1977年でした。当時はソ連という国が日本の北西にあり、米国と力を競っていました。米国と協力関係にある日本に攻めてくる可能性のある外国の軍隊とは、ソ連であるとみなされていたのです。
 ところが、このソ連が91年になくなり、ロシアとして生まれかわりました。この後、安保条約で決められた日本と米国の協力関係のあり方が見直され、日米の軍事的な関心は、ソ連の侵略を意識した日本有事から、「周辺事態」というもう一つの有事に移ったのです。
 周辺事態とは、そのまま放っておけば日本への攻撃に発展するおそれのある、日本の周辺で起きた武力衝突とされています。すなわち安保条約6条に含まれる有事の考え方です
「周辺事態」も有事の範囲へ 憲法9条の考え方と対立か
 有事法制の中には、安保条約に基づいて米軍が行う行動に対する協力の手続きも盛り込まれるようです。中谷元・防衛庁長官は4日の衆院安保委員会で、有事法制で考える有事の範囲に、「周辺事態」も含まれると話しています。

 海外での戦争を禁止しているとされる憲法9条の考え方に立てば、米軍への協力はあくまで日本有事に対する日米の行動を定めた安保条約5条の範囲に限られるはずです。
 「周辺事態」も有事の範囲に入るとする政府の考え方は、憲法9条の考え方や現在の国際情勢を軸に、国会で大きな議論となるはずです。

(佐々木康之・朝日新聞記者)

2002年4月14日


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