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「八葉物流」マルチ業界のリーダー逮捕
 「事業にお金を出してくれれば、1年間で必ず倍に増やします」。こんな文句で出資を誘われたら、あなたはどうしますか。健康食品販売会社の「全国八葉物流」(本社・沖縄県北谷町)は、こうした誘い文句で高額な健康食品を売りつけ、約2年間に約4万8000人から約1600億円を集めました。実際には大半が損をし、現在、大きな社会問題になっています。警視庁と沖縄・愛媛県警の合同捜査本部は11月27日、会社の関係者を詐欺の疑いで逮捕するなどして、本格的な捜査を始めました。
 逮捕されたのは、同社の実質的な経営者で、同社グループの元名誉会長、田所収容疑者(68)ら、元幹部14人です。
4万8000人から約1600億円 大半は中高年の女性らが損
 調べによると、同社では、ハチの巣のエキスなどで作ったとされる高額な健康食品を友人や知人に宣伝し、買ってもらうと、紹介者に手数料を払う仕組みで、客を次々に増やしました。こうした販売方法はマルチ商法(連鎖販売取引)と呼ばれ、売り方などが法律で規制されています。
 具体的には、150万円を出した会員を「代理店」、10人以上を勧誘した会員を「販社」、10以上の販社を抱える会員を「統括販社」と名づけました。そして、新しく代理店になった会員には年300万円を払うと説明。統括販社や販社の会員が新しい客をとった時には、紹介料として、客1人あたり40万円の配当金を払うと約束しました。こうした費用は商品の売上金でカバーすると説明していました。
 しかし、調べでは、同社は最初から、会員に約束した数の1割程度しか商品を製造しておらず、販売ルートも持っていませんでした。会員から集めた金は、ただちに別の会員の配当金などにあてており、完全な「自転車操業」でした。1999年9月に営業を始めましたが、2001年の暮れには配当金が約11億円不足し、破産しました。会員のうち約4万人は、損をしています。大半は中高年の女性で、年金生活者も含まれています。
 都内の50代の女性は昨年2月、友人に誘われて同社の説明会に参加。法律が定めた規制を守れば問題がない、などと、約1時間にわたって説明を受けました。「1年で2倍に金が増えるのは大変魅力的」と約900万円を出資。現在700万円の損を抱えています。別の保険外交員の女性は、積み立て型の生命保険を解約して約450万円を出資しましたが、300万円の損となっています。「友人にも700万円の損をさせ、人間関係を壊してしまった」などと話しているそうです。
倒産承知で続け被害が拡大 もうけた人には返金も

 悪質なのは、昨年12月、倒産が確実になってからも、配当金の手数料をアップすることで新しい客から約195億円を集めたことでしょう。各地の消費者センターには、被害者からの相談が殺到し、「被害対策弁護団」も組織されました。
 なお、出資金以上の配当を得た人は約8000人。その総額は約270億円で、中には1億円以上もうけた人もいるそうです。一部の人は、文字通り「ぬれ手であわ」だったわけですね。現在、同社の資産を管理している破産管財人は「配当金のうち、出資金を上回る分は不当利益にあたる」と、多額の利益を得た約6000人に、金を返すよう求めています。
 ちなみに、逮捕された田所容疑者は「マルチ業界のリーダー」を名乗っていたそうです。約20年前、沖縄でステンレス鍋のセットを売るマルチ商法を始めたのを皮切りに、これまでマルチ商法でさまざまな商品を扱ってきました。毎回、数年で失敗していますが、ひっかかる人はいつもいたようです。うますぎる話には、気をつけてください。

(02年12月11日)


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