こどもアサヒ > ニュースドンとこい! > ニュースドンとこい!過去一覧

イラクの国連査察受け入れでどうなるの
 イラクが核兵器や、細菌やウイルスを使う生物兵器、有毒物質をまき散らす化学兵器など、大勢の人々を殺す大量破壊兵器を持っていないかどうかを調べる査察」という作業が11月27日始まりました。
大量破壊兵器の有無調べる 厳しく違反を許さない姿勢
 イラクのフセイン大統領は大量破壊兵器の製造を進め、1980−88年のイランとの戦争でサリンなどの化学兵器で大勢のイラン兵を殺傷。イラク北部のクルド人4000人以上を毒ガスで殺しました。核兵器製造に必要な材料や技術を集め、ミサイルや細菌を使った生物兵器まで作りました。
 90年には隣国クウェートを占領し、米軍中心の多国籍軍に撃退される湾岸戦争が起きました。戦後、大量破壊兵器の査察を受け入れ、一部は廃棄されましたが、その後は応じず、査察は98年に止まったままです。その間もフセイン大統領は、政府要職を親族が占めるなど独裁体制を一層強めています。
 米国は同時多発テロ後、大量破壊兵器を開発し、それをテロリストに渡す恐れがある国としてイラクを挙げ、先制攻撃を加えてフセイン政権を倒す構えを強めてきました。
 しかし、紛争があればまず国連が解決に当たるのが国際社会のルール。もし米国が一方的に攻撃を始めれば、この原則が崩れ、多くの紛争国が勝手に戦争を始めかねません。そうした事態を心配する多くの国々のねばり強い働きかけで、国連の安全保障理事会(安保理、15か国で構成)は11月、大量破壊兵器の有無を調べる査察をイラクに要求することを決議し、イラクも受け入れました。
 決議では、イラクが査察に協力しない行動をとれば、「決議への重大な違反」とみなすほか、査察開始から60日以内に査察団が安保理に報告するよう期限も定めました。
 査察をするのは、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)と国際原子力機関(IAEA)の専門家チーム。軍事施設に出かけて内部を点検するだけではありません。疑惑施設は、表向きは農薬工場や大統領宮殿のような場所に隠されているといわれます。査察団は、偵察衛星や空気中の放射線を感知するセンサーなど先端機器を導入。抜き打ちの査察やイラク人技術者への事情聴取も行い、大量破壊兵器の有無を調べ上げる予定です。
イラク攻撃へ準備する米国 戦争を避ける道、探せるか

 しかし、これで戦争が遠のいたわけではありません。イラクが本当に査察に協力するかどうかはわかりません。米国は、フセイン大統領を倒さない限り、根本的な解決にはならないとの主張を崩さず、少しでも違反があれば攻撃に踏み切る準備を進めています。
 クウェート、サウジアラビアなどイラク周辺国は世界有数の産油国です。戦争が始まれば石油価格に影響を与えそうです。イスラム教国の反米感情がさらに高まり、新たなテロの要因になるかもしれません。同盟国として日本にも米国の武力行使への協力が求められる可能性もあります。
 戦争を回避できるか、国際社会は正念場を迎えています。

(02年12月4日)


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します