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拉致被害者が一時帰国、どうなる今後
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致された日本人のうち、生存者5人が15日、24年ぶりに帰国しました。待ちわびた家族と再会し、それぞれのふるさとに帰るなどして約2週間、滞在します。5人は子どもなどを北朝鮮に残しているため、その後再び、北朝鮮に戻る予定です。家族を連れての全員帰国が日本側の家族の望みですが、北朝鮮が核開発を認めるといった思いがけないニュースもあり、交渉の先行きはまだ不透明です。
5人が帰郷、家族らと再会 永住は本人たち明言さける

墓参りをし、手を合わせる地村保志さんと浜本富貴恵さん(左から二人目)=福井県小浜市で

 帰国したのは、新潟県柏崎市で1978年7月に拉致され、北朝鮮で結婚した蓮池薫さん(45)と奥土祐木子さん(46)、福井県小浜市でやはり同年7月拉致され、その後結婚した地村保志さん(47)と浜本富貴恵さん(47)、そして同年8月に新潟・佐渡島で拉致された曽我ひとみさん(43)です。
 5人は15日正午過ぎ、平壌の国際空港で政府のチャーター機に乗り込み、午後2時過ぎ、羽田空港に到着。出迎えた家族と抱き合って再会を喜びました。この日は千代田区内のホテルに家族と一緒に宿泊。17日、家族とともに故郷に戻って、学生時代の友人や恩師、家族、親類と会いました。
 浜本さんは17日、迎えの人たちに笑顔を振りまいていましたが、自宅の玄関前で突然、大声で泣き出しました。蓮池さんは、中学時代の軟式野球部の仲間たちが待ち受け、学生時代の話に花が咲きました。地村さんは、今年4月に74歳で亡くなった母親の仏壇に、祈りをささげました。曽我さんは18日、佐渡島で先祖の墓参りをしました。ここには拉致されて今も行方がわからない母親のミヨシさんや、曽我さん自身が祭られています。
 5人の一時帰国は、日本が北朝鮮と国交正常化に向けて話し合いを始めるにあたり、重要な条件となっていました。「拉致された日本人8人死亡」というニュースが伝わって以来、北朝鮮に対する日本の世論は大変厳しいものとなっており、政府は北朝鮮に、生存者の一時帰国を強く求めてきました。今回の実現で、なにはともあれ日本政府は10月29日から予定通り交渉を始める地ならしを終えた、ともいえましょう。
 今後の課題は、「拉致被害者が北朝鮮に残した家族全員を連れて日本に帰国・永住」となります。が、この問題になると被害者自身、はっきりした発言を控えている状態です。家族が「日本に戻ってこないか」と尋ねても、「考えてみる」「子どもと相談してみる」などと答えるにとどめています。
 むろん、5人の帰国ですべてにカタがついたわけではありません。北朝鮮に拉致されたと警察庁に認定された人は、今回帰国した曽我ひとみさんらを加え13人から15人に増えました。こうした拉致の真相や死亡したとされる人たちの調査についても、政府は引き続き、北朝鮮に求めていかなくてはなりません。 

核開発継続を認めた北朝鮮 交渉で日本政府の役割重要
 さらに16日には、北朝鮮が高濃縮ウラン施設の建設などの核兵器開発を続けていることを認めた、と米国務省が発表しました。これは、国際間で取り決めた「核不拡散条約」や、94年に核開発の凍結を決めた「米朝枠組み合意」への違反行為にあたります。これからは、北朝鮮が小泉首相の訪朝時に「共同宣言」でうたった「国際法を守る」という約束が、ますますクローズアップされるはずです。北朝鮮を国際社会の土俵に連れ戻すためにも、日本政府の今後の腕まえが注目されることは間違いありません。

2002年10月27日


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