朝日中学生ウイークリー
保護者の方へ 購読の申込み 中学生ウイークリーTOP 参加する
   こどもアサヒ TOPページ > 朝日中学生ウイークリー > NEWS週間ダイジェスト
 今週のトピック バックナンバー
2009年5月
この記事を印刷する
日本にスズメは何羽いる?
推定1800万羽 いま子育てシーズン

5月から6月にかけて、スズメは子育てのシーズン。都市の鳥を研究している三上修さん(34歳、立教大学の特別研究員)の推計によると、この季節に日本で子育てをするスズメの数はざっと「1800万羽」だそうです。でも、どうやって数えたのでしょう?

 三上さんは、スズメを数える環境を5つに分けました。▽住宅地▽商用地▽農村など▽森など▽その他(大きな公園やゴルフ場など)。2008年の5月〜6月、日本の北から南をバランスよく含むように、秋田、埼玉、熊本の3県を選び、5つの環境ごとに現場を歩いて、巣を数えました。えさを運ぶ親鳥の行動やヒナの鳴き声を手がかりに、人家の屋根のすきまなどにある巣を記録しました。

 こうした実地調査をもとに、100(メートル)×100(メートル)の中にある巣の平均個数(巣密度)を計算。▽住宅地=4.9個▽商用地=2.4個▽農村など=4.6個▽森など=0個▽その他=4.2個。

 森が0というのは意外ですが、「スズメは人家に巣を作るなど、人と密接な環境で暮らしている鳥。森にはいないんです」と三上さん。

 あとは、国土交通省がウェブで公開している地理情報システム(GIS)のデータから、同じ環境の土地が全国にどれだけの面積で存在するかを調べ、掛け算すれば巣の総数が割り出せます。これを2倍して、雌雄の親スズメの総数を「1800万羽」と推計しました。

 意外に少ない気もしますが、日本の国土の7割近くはスズメの生活に向かない森林。スズメの居場所は限られているのです。三上さんは、「当然誤差を含みますから、実際の数は『数千万羽』とみてください」。

 三上さんはまた、スズメの食害を受けた田畑の被害面積、有害鳥獣として駆除されたり、猟で捕られたりしたスズメの数といった統計データなどから、「ここ20年でスズメが5分の1ほどに減った可能性がある」という研究論文も書きました。かわら屋根の木造家屋など、スズメが巣を作れる環境が減ったことなどが大きいのではないかと、三上さんは考えています。

 昔話や俳句などの題材になり、古くから私たちに最も身近な野鳥、スズメ。毛虫などの害虫を食べたり、他の大きな生き物のえさになったりして、生態系の中でも大切な役割を果たしています。「スズメをきっかけに、身近な生き物や環境のことを考えてもらえたら」と三上さんは言います。

(2009年5月31日)

季節性にやられた岩本記者からのメッセージ
「ふつうのインフルなみ」でも油断禁物
 新型の豚インフルの症状の重さについて、多くの専門家は「毎年冬を中心に流行する季節性インフルエンザ程度」と言っています。そう聞いて「なーんだ安心だ」「たいしたことないや」と油断している読者、いませんか? 甘い! 「季節性程度」を、あなどってはいけません。今年、季節性インフルにかかった記者が、闘病体験を振り返ります。

かぜと思いきや2日後に
 「かぜかな?」と思ったのは今年1月の土曜日。インフルエンザがはやりはじめていたので、電車ではマスクをするようにしていたのですが、その1、2日前だけは忘れてしまっていたんです。翌日の友達との予定をキャンセルして、市販の風邪薬を飲み、ごろごろと寝ていました。
 明けて月曜日、それほど熱も上がっていなかったので、出勤前に薬をもらおうと、内科に立ち寄りました。病院は診察時間前なのに、すでに20人待ち。硬いいすに座っていると、ゾクゾクと寒気がしてきました。「もしかして……」と思ったのはこのときでした。

寒気ひどく息苦しくなり
 看護師さんに頼んで、小さな診察用ベッドに寝かせてもらいました。コートを着たまま毛布にくるまっているのに、どんどん寒くなってきます。患者さんは絶え間なくやってきて、「はい、こちらもインフルエンザB型ね」「あちらの人も39度です」といったやり取りが聞こえ、不安が募りました。
 ようやく診察してもらったのは2時間半後。インフルエンザの簡易キットで「A型」と診断されました。病院までは自転車をこいできたのに、タクシーに乗らなければ帰れないほど、熱が上がっていました。
 処方してもらったのは「リレンザ」。息をはいて、鼻をつまんで、粉末を吸いこむ薬です。一見簡単なようですが、高熱で呼吸が荒いと、けっこう難しいんですよ。
 パジャマの上にパーカを着て、布団と毛布をかぶっても、寒気はおさまりません。体温は39.7度までいきました。息は苦しくて、視野もあやしく、何もない空間に幾何学模様が見えるときもありました。

寝てるだけで1日3キロ減
 次の朝には熱は38度台に下がりましたが、体中が筋肉痛のようになり、体重はたった1日で3(キ ロ)グラムほど減っていました。
 それから4日間は寝たきりで、「あれを食べたい」「これをしたい」という気持ちはまったく起きませんでした。家族にうつさないように部屋は締め切り、加湿器を「強」にして湿度を60%以上に保ちました。歯みがきをするときも、共用のコップは使わず、タオルも別のものにしました。
 病院で「完治」のお墨付きをもらい、会社に復帰したのは1週間後。「やつれたね」「一回り小さくなったね」と口々に言われました。それから1カ月くらいは体力が戻りませんでした。

(2009年5月24日)

左脳と英語力の関係
「文法中枢」の非対称性が成績に影響
 「なんでアイツは英語がすぐできるようになるのに、自分はダメなんだろう?」――こんな疑問に答えられるかもしれない研究成果が公表されました。外国語を学ぶ際の向き・不向きは、左脳の特定の部分に関係することを、東大の酒井邦嘉准教授(言語脳科学)らが明らかにしました。
 人間の脳は左脳と右脳にわかれ、互いの活動を抑制し合っています。これまでの研究で、左脳には「音韻」「単語」など言語活動のある分野に特化して活動する場所があり、「文法」を考えるときは、左のこめかみの上(左耳と左目をつなぐ線を底辺とする正三角形の頂点付近)の場所が働くことがわかっています。
 今回、酒井先生らは中高生78人、英語圏以外からの留学生17人(20〜41歳)を対象に、英語の文法問題を解かせ、脳を「磁気共鳴映像法(MRI)」で調べました。それぞれの人の脳の画像を標準的な脳の形に変形させた上で、変形の割合を調べ、左脳と右脳でどの部分が非対称であるかを調査。その結果、左脳の「文法中枢」が右脳の対応する部分と比べて大きく、アンバランスであるほど、文法成績がよくなる傾向が見いだせました。右脳のその部分が小さいと、右脳からの抑制が小さくなるとみられます。
 留学生を除いた中高生だけでも同じ傾向があることから、英語学習の期間の長さは関係ありません。「脳の個人差が、語学学習の差に関係している」と酒井先生。ただ文法中枢の非対称性と語学学習の適性の因果関係はまだわからず、どちらが原因でどちらが結果か――「文法中枢の左右差が大きくなったので、英語の成績がよくなった」「英語を一生懸命勉強した結果、文法中枢の左右差が目立つようになった」――などとは言えないそうです。
 これらの研究は、将来、語学教育を改善するのに役立ちそうです。「一人ひとりの脳にあった語学教育の実現に向けて、その一歩になるのでは」と酒井先生は話しています。

(2009年5月17日)

4割の私立高で経済的理由で中退
行政や学校が融資・奨学金で手助けを
   私立校の先生でつくる「全国私立学校教職員組合連合」が、全国の私立中高に対し、お金がないなど経済的な理由で退学した生徒数などについてアンケートした結果を4月30日、公表しました。
 回答した高校は28都道府県315校(全私立高の24%)。そのうち、2008年度に経済的な理由で中退した生徒がいたのは134校。回答のあった高校の43%でした。中退者は計513人で、回答した高校の生徒総数の0.2%。生徒1000人につき2人の割合です。具体的には、母子家庭や保護者の病気で収入が十分でない、勤め先の解雇、自営業の不振などの例がみられました。
 調査を始めた1998年度以降、中退者が0.2%台となるのは、2007年度に続き2度目。「夏以降の不況が反映している。文科省や県、各学校が経済的に苦しい生徒に支援を行っているので、この数字にとどまっているのであって、本来もっと厳しいはず」と全国私教連の書記長・永島民男さんはいいます。
 中学については20都道府県の128中学(全私立中の17%)が回答。そのうち13校で計24人が退学しました。回答した中学の生徒総数の0.05%です。高校と比べ、中退者の割合が少ないのは、「回答があったのは1校を除いてすべて中高一貫校なので、もともと収入が高い家庭が多いからでは」と永島さんはいいます。
 学費未納と卒業認定の関係について高校に質問したところ、229校が回答。うち77校が「卒業式は出席させ、学費納入後に証書を渡す」と答えるなど、計158校、69%の高校が学費を納めなければ卒業させない方針でした。
 全国私教連は「09年度も厳しそう。行政や各学校などが、融資や奨学金制度の充実など思いきった手立てを講じることが必要」としています。

(2009年5月10日)

豚インフル警戒レベル「フェーズ5」
発生国からの入国者は強制的に検疫
世界保健機関(WHO)は4月24日、メキシコで豚インフルエンザによる死者が発生した可能性があると発表、その後米国やカナダでも感染が疑われる患者が確認されました。ブタとの接触がない人も感染していることなどから、WHOは「人から人への感染が続いている」として27日に警戒レベルを「フェーズ4」に、「二次感染とみられるケースも増えている」として29日(日本時間30日)には世界的大流行(パンデミック)の一歩手前である「フェーズ5」に引き上げました。
 30日午前1時現在、メキシコで2498人(うち死者159人)、米国91人(うち死者1人)、カナダ13人、その他にニュージーランド、スペイン、英国などで感染者が確認され、韓国やシンガポールなどアジアでも感染の疑いのある人が出ています。日本では30日午前10時現在、感染者や感染の疑いのある人は報告されていません。

【日本の対応は?】
 WHOが警戒レベルを引き上げたことを受け、舛添厚生労働相は28日、感染症予防法に基づき、「メキシコ、米国、カナダで新型インフルエンザが発生した」と宣言、政府は全閣僚が参加する「新型インフルエンザ対策本部」を設置しました。ウイルスの国内侵入を「水際で食い止めたい」と、発生国から入国する人に対して強制的に健康チェック(検疫)を開始、空港では飛行機を降りる前に全員への「機内検疫」が始まりました。さらに、海外からの航空便で日本に着いたすべての乗客に健康状態や連絡先などの申告を義務づけました。
 外務省はメキシコへは重要な用件でない限り行くことを延期すること、メキシコ在住の日本人には早めに退避を検討するよう求めました。
 厚労省は、発生した地域から帰国した人、発熱やせきなどインフルエンザのような症状のある人は保健所の発熱相談センターなど相談窓口に、まず電話で問い合わせるよう求めています。厚生労働省の臨時電話相談窓口は03・3501・9031(午前9時〜午後9時)。
 舛添厚労相は、重症化を防ぐうえで、抗インフルエンザ薬の「タミフル」「リレンザ」が有効としています。フェーズ5への引き上げを受けた30日早朝の会見では、発熱などで感染が疑われる人を最初に診断し治療する専門の「発熱外来」などの準備を進め、発症した患者全員を把握できる態勢をとることなどを明らかにしました。朝日新聞の29日の調査では、発熱外来の開設準備を終えた自治体は26都府県。
 厚労省ではワクチンの開発にも早く取り掛かりたい考えです。
 新型インフルエンザの世界的大流行は1918年〜20年の「スペイン風邪」など20世紀に3回ありました。医療が発達した現在は、大流行を食い止める対策が取りやすくなっているともいえます。しかし交通が発達し、人やモノの交流も増え、感染の速度はかつてより速くなっているといえます。世界の国々が協力して長期にわたる対策を取っていくことが求められています。

【学校はどうなるの?】
教委・学校・家庭の連携強化

 文部科学省は4月28日、各都道府県教育委員会などに対し、日本国内で発生した場合に臨時休校などがすみやかに行われるよう、教育委員会と学校、学校と家庭での連絡網の整備などを求めました。
 さいたま市教育委員会は5月1日から、市立の小中高校や幼稚園すべてで登校前に子どもたちが家庭で体温を測り、記録票に記入して学校に持ってきてもらうことを決めました。
 メキシコにある二つの日本人学校(小学部・中学部あわせて168人が在籍)は5月5日まで休校。日本に帰国する家族がいれば、国内の学校に子どもを受け入れられるようにするといいます。

(2009年5月3日)

強力連載隊
英検3級合格への道
漢検卒業までに3級を 数検3級合格の定理

TOPページ  |  朝小TOP  |  朝中TOP  |  新聞の定期購読  |  お問い合せ  |  著作権  |  広告掲載  |  会社概要
(C)Asahi Gakusei Shinbunsha All Rights Reserved.