朝日小学生新聞
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深海を生中継で観察!


 深い海の底を無人探査機で観察する「模擬深海調査」に朝小のこども記者32人が挑戦しました。海と地球を研究する海洋研究開発機構(JAMSTEC)。その無人探査機「かいこう」から送られてくる生中継映像を、深海生物の専門家、藤倉克則(ふじくら・かつのり)さんとともに見ました。


無人探査機「かいこう」

無人探査の仕組みについて事前取材するため深海調査研究船「かいれい」を訪れたこども記者たち=神奈川県横浜市


 今回、深海を調査するのは無人探査機「かいこう」とその母船「かいれい」。深さ7千メートルまで潜れる日本最深級の探査機です。「かいこう」が撮影した映像を、海の上で待つ「かいれい」の中で見ながら操縦や観察をします。
 朝小はJAMSTEC、ニコニコ生放送と協力し、その映像を生中継してもらい、こども記者は東京・築地の朝日新聞社内で番組を視聴することにしました。生中継なので、新種の生物や驚きの発見に立ち会えるかもしれません。

母船「かいれい」②

母船「かいれい」①

「かいれい」船内にある無人探査機「かいこう」の指揮室(上)と、こども記者が模擬深海調査をした会場(下)


 5日朝。「今日、見てみたい生き物は?」。潜航を前に、藤倉さんが聞くと、こども記者からは「ヒメコンニャクウオ!」「クロカムリクラゲ!」「コウモリダコ!」などと聞きなれない生き物の名が次々にあがりました。
 午前10時25分、「かいこう」が船からクレーンで海につり下ろされました。ブクブク……。海にもぐっていくとまもなく、マリンスノーと呼ばれる微生物の死骸などがただよっているのが見えました。だんだん太陽の光が届かなくなり、暗くなっていきます。映像に示される水温も下がってきました。

JAMSTEC上席研究員 藤倉克則

深海の生き物について解説する藤倉克則さん(JAMSTEC上席研究員)


 11時すぎ、水深700メートル近くでクラゲが見えました。藤倉さんは「キヨヒメクラゲですね」といいます。その後もクラゲや小さな魚のようなもの、オタマボヤが脱ぎ捨てた「ハウス」という包巣などが見られました。
 海底まであと130メートルほどの地点で探査機は2つに分離し、ここから先はビークルとよばれる、海底を動き回り実際に探査をする部分だけが下りてゆきます。
 11時39分、ようやくビークルが水深977メートルの海底に着きました。
 と、そこで待っていたのは、ワタゾコナマコの仲間です。よく見ると周囲にも何匹かいるようです。真っ暗な海の底でも生き物が暮らしていました。
 もっといろいろな生き物を観察しようと、エサとなるサバを置いてみました。するとすぐに暗闇からソコダラの仲間、ホラアナゴの仲間が現れました。においをかぎつけてやってきたようです。
 ビークルにはスラープガンという生物を吸い取る「水中掃除機」がついています。海底にそって移動していたその時、赤く美しく水中をただようユメナマコが現れました。こども記者がいっせいに「つかまえてー!」と声を上げます。その願いが船に届いたのか、探査機の操縦士が水中掃除機でさっと吸い取りました。お見事!

ユメナマコを吸引する瞬間 (C)JAMSTEC

ユメナマコを吸引する瞬間 (C)JAMSTEC

海底に置いたエサのサバに群がる深海魚 (C)JAMSTEC

海底に置いたエサのサバに群がる深海魚 (C)JAMSTEC


 午後1時7分、海底を離れ、上昇を始めました。
 残念ながら、新種やシーラカンス、ダイオウイカなどの希少生物には出会えませんでした。でも参加したこども記者からは「生き物の数が少なく、そこで生きていくことの難しさを知りました」「深海生物がなぜ水圧に耐えているのか調べたい」「魚たちの1日を知るため、24時間観察できる施設を深海に作りたい」などの意見が出ました。
 藤倉さんは「今回はたくさんナマコが見られました。なぜたくさんいるのか。何か理由があるはずですから、考えてみてください。将来、深海の研究者になりたければ、ぜひ待っています」と話しました。

(当日のようす)
https://youtu.be/dCPOszoOK6g
※当日の映像はhttp://live2.nicovideo.jp/watch/lv314076760)で見られます(無料会員登録が必要)

今回の潜航は、JAMSTECが主催する、全国の小学生を対象としてた「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」(https://www.jamstec.go.jp/j/kids/hagaki/)の入賞者への特典として行われました。

無人探査機「かいこう」(上)

深海調査研究船「かいれい」

無人探査機「かいこう」(上)や、深海調査研究船「かいれい」の船内を見学するこども記者=神奈川県横浜市




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