朝日小学生新聞
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伊能忠敬のすご技に挑戦

読者による取材会「集まれ!こども編集部」。第2回は、江戸時代に日本各地を歩いて精密な日本地図を残した伊能忠敬のすごさを知ろうと、千葉県香取市の伊能忠敬記念館を訪れました。忠敬と同じやり方で地図作りにも挑戦。果たしてその結果は……。


伊能忠敬の地図作りに挑戦したこども記者のみなさんと伊能忠敬記念館学芸員の山口真輝さん(右)

伊能忠敬の地図作りに挑戦したこども記者のみなさんと伊能忠敬記念館学芸員の山口真輝さん(右)=どれも千葉県香取市


今年は伊能忠敬が亡くなって200年の節目です。流域面積日本一の利根川ぞいに広がる千葉県香取市。ここに忠敬が17歳から50歳までを過ごした旧宅が残っています。伊能家はここで酒造りなどの商売をし、繁盛しました。 ところが忠敬は49歳で家業をゆずり、夢だった天文暦学(星を観測して暦を作る学問)を学ぼうと、50歳で江戸に移りました。
「忠敬は商売で得たお金でたくさんの本を買い、いつか夢をかなえようと勉強していたんです。ここがすごい」。伊能忠敬記念館の学芸員、山口真輝さんは集まったこども記者6人を前に話します。

伊能忠敬記念館①

江戸に出た忠敬は19歳も年下の天文学者、高橋至時に習いました。当初、忠敬の夢は日本地図を作ることではなく、「地球の大きさを測ること」でした。でも地球を1周して測ることはできません。そこで緯度1度分の長さを測り、360倍することで地球1周の長さを求めようとしました。


伊能忠敬記念館③

測量①

測量②

 忠敬の技術がどれくらいすごいのか、こども記者も体験することにしました。忠敬は最初の測量で距離を測るのに「歩測」を使いました。あらかじめ1歩の長さを測り、同じ一定の歩幅で歩くことで、距離を測る方法です。
忠敬の歩幅は69センチだったそうです。一定の歩幅で歩けるよう練習も重ねたといいます。
 こども記者も歩幅を測りました。5メートルの距離を歩き、平均を求めて自分の歩幅を知りました。
 その歩幅を使って15メートルほどの距離を歩いて測ってみました。ところがこれがなかなかうまくいきません。無意識のうちに歩幅がちがってしまっているようで、3割以上の誤差が出ます。「ダメじゃないか、これじゃあ地図は作れんぞ(笑い)」と山口さん。こども記者、まだまだ修業が足りないようです。


測量③

測量④

 次に、地図を作る基本を学びました。使うのは竹竿の先に紙や布をつけた「梵天」という目印と、メジャー、方位磁針と分度器を合わせた方位盤です。
 まず目標とする地点に梵天を立てて目印にし、起点からの長さをメジャーで測り、記録します。次に目標地点へぴたりと向きを合わせた方位盤を使い、起点から目標地点への角度を測ります。このとき基準になるのは北。方位磁針を使って北を測り、そこから何度ずれているかを確かめます。
 こうして2地点間の距離と角度を測量し続けます。こども記者も6人がチームとなって協力して測量を進めました。「もっとメジャーをぴんと張って!」「梵天を傾けちゃだめだよ」などと声をかけ合います。

測量⑤


 最後に方眼紙を使い、測量した値を100分の1に縮小し、作図しました。約1時間がかりで駐車場の一角の地形が見事に浮かび上がってきました。
 「わずかな距離でも大変なのに、日本全国を測ったなんてすごい」とこども記者も実感。
 山口さんは「実際にやってみると、測量は大変だということが分かったと思います。忠敬の地図を見るだけでなく、忠敬が人生をかけてつくったことを想像してもらえたら」と話します。

集合写真


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